霊魂研究の近況と展望 (超自然研究 2019)

超自然研究 第80号(2019)

『霊魂研究の近況と展望』

光槃大学 新エネルギー研究所 富川龍殊


今年に入ってから注目すべき研究成果が相次いで発表されている.これらの新たな発見によって霊魂のメカニズムの解明が飛躍的に進展することを期待している.


まず注目したいのは光菩超山大学で言語学を研究している岡本笑蓮准教授がアカシックジャーナルに掲載したものだ.岡本(2019)によれば言霊というものは約400次元のエネルギー波であり,ある言葉によって生み出された言霊の波長は,もとの言葉の意味によって変化する.ここで特筆すべきは,言葉の音ではなくその意味が言霊を生み出すという事であり、例えば「青いズボン」と発言した時と、「ブルーのパンツ」と発言した時とで,話者が同一のものを指しているのであれば生み出される言霊は同一の波長を有していることである.


2つ目はNecronomicon誌に掲載されたものであり,Welander (2019)は純粋な意味での「呪物」がこの空間に存在しえないことをコンピュータによるシミュレーションで証明した.ここで言う「純粋な意味での『呪物』」とは,物質的エネルギー以外によって近づく者や所有する者に問答無用に不幸をもたらす物体という意味だ.例えば毒ガスや放射性物質などは近づく者に問答無用で悪影響を与えうるが,それは毒ガスの組成や放射性物質から放たれる放射線のエネルギーに起因するものであり,ここでの「呪物」には当たらない.「呪物」というものはそのようないわゆる科学的な力ではなく霊的なエネルギーによって人を不幸に陥れる物体を指している.


呪物が存在不可能であるのは,物体が呪いを放出するのに3次元時空の有限の大きさでは足りないことが理由である.つまりこの空間の物体が呪物として存在するには,別の次元にある種の「広がり」を有している必要があるのだ.だがそもそもこの空間に形がある物体は別の空間に量を持ちえるはずがない.

しかし例えば小池(2018)が報告した呪物は工業的に生産された人形であり,霊格すら有していない物体である.このような極めて物質的な呪物は報告される一方で,その存在自体が否定されたことは全くない.


これらの事実を考慮すれば,Welander (2019)の研究は,「呪物」がその物体そのものに加えて,別空間からの影響がトリガーとなって「呪物」たりえているということを示唆している.つまりこの世に存在する「呪物」は持ったり近寄ったりした者を無条件で呪うわけではなく,何かしらのトリガーを引いたものを狙って呪っていると考えられるのである.


私は言霊が物体を「呪物」たらしめるトリガーの1つであると考えている.これらの研究成果が,呪文転訛問題の解決や無機物呪物化のメカニズム解明に繋がることが期待されているが,私は特にこれら2つの成果によって今後「呪物」を「呪物」たらしめるトリガーの1つが言霊であることが明かされることを期待している.言霊が約400次元のエネルギー波ならば,十分にこの空間に形がある物体を呪物として働かせることができるはずである.発言の禁忌もこの空間で形を持っている物体が,言霊の波動に共鳴に似た現象を起こすことで,呪物として発言者を呪っているのではないだろうか.


<参考文献>

岡本松勒(2019).「言霊」が存在することの実証実験,アカシックジャーナル71,pp.129-150.

Welander,O.S .(2019).There is not any fetishes in 3D spacetime. Necronomicon,289,370-391.

小池円香(2018).■■■の漁村に伝わる「ミンモウ」について,OFT-Doc 29881

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る