第11話 船上スキル集め 開始前②
船上スキル集め 1日目 11時
今まで一度も使われていなかった、船内アナウンスが響き渡った。
「船内スキル集め開始まであと1時間となりました。11時30分よりルール説明およびスキルE【ステータスウィンドウ】についての説明を行います。ご自身の判断で3階会場までお集まりください」
博人は自分の部屋のベッドで目を覚ました。
「時間か」
部屋を出ると、ほかの部屋からもプレイヤーの面々が姿を見せた。
その中には、岡部さんの姿もあった。
今が見定め時か。
「あ、岡部さん、お元気ですか?」
簡単な挨拶のあと、岡部を観察する。
スキル【観察眼(小)】→岡部亮 顔色:正常
岡部さんは、友達であろう人に声をかけた後、博人に笑顔で応じた。
「佐伯さん、昨日ぶりですね。私は元気ですよ。運よく、洗面所の水を飲む前に、バケットのペットボトルに気が付くことができたので、おなかを壊さずに済みました。」
スキル【観察眼(小)】→岡部亮 睡眠:良好
「私も岡部さんと同じです。運がよかったですね。えっとそちらの方は・・?」
博人が尋ねると、がたいのいい青年が話に加わった。
「はじめまして。俺は千住 廉だ。気軽にれんって呼んでくれ。聞き耳を立てるつもりはなかったんだが、待っている間 暇で話を聞いちまった。ごめんな」
千住 廉。180センチはある身長。自分より二回りは太い腕。話し方から見て、脳みそまで筋肉でできていそうな感じだな。
「はじめまして廉。ぼくは佐伯博人だ。気軽に博人でいい。よろしく」
博人が砕けた言葉遣いでそう応じると、廉は満足そうに岡部さんを小突いた。
「おい、亮。堅い人だって言ってたが、気さくないいやつじゃないか。心配して損したぜ」
そういった後、廉はトイレに向かった。
もしかしたら、僕たちのことを気遣ってだったのかもしれない。
廉がトイレにいったのを待って、岡部さんが口を開く。
「ぼくのことも廉と同じように呼び捨てにしてください。佐伯さんのことも博人と呼びますので」
そう言った後、一歩近づいて小さな声で話をし始めた。
「博人は自室にあった紙を解いている。と私は考えています。そのうえで、僕と契約を結びませんか」
そう言って、他の人には見えない角度で小さな紙を博人のポケットに入れた。
そして
「トイレで確認をして、もし条件を吞んでいただけるならサインをしてください」
と耳元で言い、博人をトイレに促した。
博人は、抜かりなく作業を終えた後、トイレに向かった。
トイレに入ると手洗い場に亮の姿があった。
「亮、悪いんだけど・・・・・・・・・・」
個室に入る。
紙に書かれている内容は以下の通りだ。
『契約書
双方は1日1回、相手の質問に素直に答えなくてはならない。
同じ質問をしてはならない。
署名 ・ 岡部 亮 』
質問か・・・。
要は情報交換が正しく行われるための契約書だろう。
プレイヤーの特性上、不確かな情報が飛び交うことは十分に考えられる。
それを契約によって縛り、信頼を得ていくのはある意味正攻法だ。
あとは、これがスキルによるものかどうかということだが―――。
スキル【観察眼(小)】→観察眼のレベルが低く、不明
―――やはり、見ることができない。
そこまで考えた後、持っていた鉛筆で署名欄に『佐伯 博人』と署名をした。
その途端、紙が消えてなくなり、緑のウィンドウが現れた。
〔スキル【契約(小)】の効果により、岡部亮との契約が結ばれました。破られた場合はペナルティが発生します。〕
スキルだったか。
博人はそこまで確認すると、トイレを出て、亮と廉に合流した。
そして、軽く雑談をしながら、会場へ向かった。
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