第5話 ひとつ屋根の下

あの日、私は大学の同窓会があった。


夫は小学校の教師だった。

娘は一歳になったばかり。

実家の母や父やじいちゃん、ばあちゃんが

たまには、大学の友達と楽しんでおいでと

言ってくれた。

夫も背中を押してくれたの。


嬉しくて、久しぶりにおしゃれをしたわ。

マニキュアを塗って、お化粧もして、

髪も下ろして、ワンピースにコートを

着て、ハイヒールを履いた。


鏡に映った自分に酔いしれていた。


数時間後に何が起こるかもしらないで。


朝一番の飛行機に乗って、空港には親友が

迎えに来てくれてた。

バリバリのキャリアウーマンの彼女を

少し羨ましい気持ちになってた。

身につけている物も、やっぱり違うなぁなんて。

私だって、こっちに残ってたら違う人生だったのかななんて考えたりしたわ。


同窓会が始まって、懐かしい顔を見ると

妙にはしゃいじゃって。


そんな時だったわ。

いきなり、地面が揺れたのは。

地震?かなり揺れたけれど、事故になるほどではなかった。

揺れがおさまると。

ひとりが

「おい!大変な事が起こってるぞ!」

と叫んだのは、、。

みんな一斉にスマホのニュースに釘付けになった。


私は、意味がわからなくて、これはどこか遠くで起こってて、自分には関係ないって

思いたかった。




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