(8)

「この夜中に何の騷ぎよ〜ッ‼」

 次の瞬間、第2王女の怒りの声。

 えっ?

 何で?

 そして……お嬢様が寝てる筈の部屋から、第2王女が出て来て……。

 ついでに……居ない。もう居ない。消えた。

 さっきまで、ここに居た女の子が……。

「な……なんで……ここに?」

 ラートリーが、そう言うと……。

「一緒に寝てたの……」

 続いてお嬢様も出て来た。

 でも、ラートリーの視線の向きが変だ。

「がじっ♥」

「がじっ♡」

 更に続いて、第2王女のペットの鳳龍まで現われ……何故か、ラートリーの足に頬っぺたをスリスリ。

 第2王女は……怪訝そうな表情かおになり……。

「何で、この子達が、貴方になついてるの?」

「え……えっと……」

「説明してもらえる? この前の私の誕生日に、お姉様から誕生日プレゼントとして送られた来た子達が……貴方の事を知ってるみたいだけど……どう云う事?」

「あ……多分、誰かと勘違い……」

「がじっ?」

「がじぃ……?」

 ところが、鳳龍達は何かに気付いたような表情になって、顔を見合せて……。

「がじがじがじがじがじ……♪」

 どたどたどたどたどたぁ……。

「がじがじがじがじがじ……♪」

 どたどたどたどたどたぁ……。

 2匹そろって走り出した。

「ちょ……ちょっと待って……」

 それを追って第2王女も走り出し……。

 走る。

 走る。

 走る。

 ひたすら走る。

 やがて……。

「がじっ?」

「がじぃ?」

 鳳龍達は、何の変哲も無い通路の壁を見ながら……何か戸惑ってる様子。

「どうなって……?」

「う……うそ……何で……?」

 ところが、第2王女だけが何かに気付いた様子で……。

「どうしたんですか?」

「そこを……思いっ切り押してみて……」

「は……はい……」

 第2王女に言われた通りに、壁を押すと……。

「えっ?」

 壁がグルリと回転。

「こ……これって……?」

「私が聞きたいわよ? 何で……この子達が……王宮でも王族含めて十数人しか知らない……隠し通路の前に……たまたまなの? たまたまにしては……」

「隠し通路?」

「何か有った時の脱出路だろうけど……」

 ラートリーは、そう言いながら……。

「あ〜、馬鹿、迂闊に入らないで〜、灯りッ」

「は……はい……」

 お嬢様は第2王女に言われた通りに、持っていた灯りで隠し通路の中を照らし……。

 隠し通路の床に溜っていた埃の上には……真新しい足跡が有った。

 それも、王宮内に入ってきたものと……王宮内から出て行ったものが……。

 更に……入ってきた足跡と、出て行った足跡は……ほぼ同じ大きさ……多分だけど……履いてる靴も同じモノみたいだった。

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