(7)

「で、この女が、お姉様の代り? 似てないじゃない」

「がじっ♥」

「がじっ♡」

 第2王女が持っていたヌイグルミは……ヌイグルミじゃなかった。

 青っぽい色の気が弱そうな顔のと、赤っぽい色の気が強そうな顔のが、仲良く床で朝食を食べている。

 何でも、王族の先祖にあたる遊牧民の故郷の草原に居る「鳳龍」って生物だそうだ。

 そのペット達の食事さえ、お嬢様の普段の朝食より遥かに豪華だ。

「いや、でも、ここ数年、殿下を含めて、王宮の者の大半は、ミトラ殿下に会っておりませんので、現在、どのような御容姿かは判りかねます。……えっと、案外……」

「たった数年で、髪や目の色まで変る訳ないでしょッ⁉」

「お嬢様……」

「何?」

「話、聞いてます?」

「今、何の話してるの?」

「だから、やっぱり、この計画、無理が有るんじゃないかって……。あ、パンとスープとお肉とサラダ、お代わり」

「……は……はい……」

 ついさっき、ボクの子分にしたメイドさんは、何故か怯えたような声で、そう答えた。

「……しかし、良く食べるわね……」

 第2王女の呆れたような声。

「あ……すいません。貴族と言っても貧乏なので、ここまで豪華な食事は……」

「わかった、好きなだけ食べて……」

 第2王女は、お嬢様をあまり良く思ってないようだけど、すっかり毒気を抜かれている。

 多分だけど、この朝食だけで、お嬢様一家(使用人含む)の数日分の食費がかかってる。

「まぁ、一応は貴族だけあって……大食いの割にお行儀だけはいいみたいね」

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