第160話 証言
「ングヴァヴェヴェヴェヴェヴェェェェェェェェ!!!!!」
『不浄なるもの』が部屋の中心で叫び声をあげながらドンドン膨らんでいく!
体液を飛び散らせながらドンドン膨らんでいく!
そして最期に『不浄なるもの』は大爆発を起こすのだった!!
「ヤバい!爆発する!みんな固まれ!!みんな魔力を展開するんだ!!」
そう俺が叫んだ瞬間、『不浄なるもの』が収束した魔力が暴走を起こし大爆発を起こし隠し部屋もろともすべてが吹き飛ばされていく、そんな光景を最後に俺の意識はなくなった。
この日、この瞬間、遠く離れたサンサンプトンやロコロッコでも大きな地震が起こった。
人々はこれまで感じたことのない地震に恐怖した。
街では地面が隆起し建物の倒壊も起こった。
砂海ではなにかに呼応するようにその砂の海が大きくうねり、津波が起こり船やそこに棲息するモンスターなどに甚大な被害をもたらした。
時を同じくして、『忘却の王墓』付近では凄まじい衝撃波が起こり近辺にいたモンスターや樹木はたちどころに粉砕され、近隣にいた冒険者たちも多くが被害を受けた。
ただし、今回の大惨事において1つの奇跡が起きていた。
それは幸いなことに砂海や街、そして『忘却の王墓』付近にいた者たちも含めて大きな怪我を負うものはいたが、誰一人として死人はでなかった。
後にこれを『聖女の奇跡』と呼ぶことになる。
九死に一生を取り留めた冒険者たちが後にギルドで語った報告にはこうあった。
「大きな地震が起こり体勢が崩れたところに、大魔法かと言わんばかりの衝撃波が襲い掛かってきた。『これはもう無理だ』と諦めたところ、優しい光の風のようなものに包まれた感じがしたとのこと。その直後、衝撃波に直撃した。確かに怪我を負ったが、それでも生きていたとのこと。周りを見渡すとジャングルの木々は千切れ、モンスターたちも粉々に千切れ飛んでいるが、自分を含め見渡す限りに存在した冒険者たちすべてが生きていた。これは奇跡だと。聖女様が我々を助けてくれたんだと。我々は直感した。」そう報告に来た者たちは口々にそう言った。
そして、最後に報告にきた冒険者たちは声をそろえて言ったという。
「俺たちは何故だか知らないが『忘却の王墓』へ行かなければならない気がした。きっと今回の大惨事の中心地がそこであるからだと確信していたからだと思う。そして、俺たち冒険者が、そこに辿り着いた時、そこには何もなかった。」
『忘却の王墓』が消滅していた。
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