第27話 特別捜査隊VSギャング

 宇都宮で自動小銃で武装した銀行強盗事件が発生し、パトロール警官だけでは対処できないため、東武署は特別捜査隊を出動させる。警察は交渉人を使った解決を第一に考え、隊員を要所に配置し建物を封鎖した上で電話による交渉を始める。ところが配置についていた隊員の一人である佐藤巡査は、一緒に行動していた同僚の遠藤巡査の忠告も聞き入れず、待機命令を無視して独断で店内に進入してしまう。そして突入部隊への射撃許可が出ていないにもかかわらず勝手に犯人に向け発砲し、しかも人質の女性を誤射して負傷させる。遠藤に引きずられるように行動した佐藤が犯人を銃で制圧し、なんとか事件は解決したものの、命令無視と人質を負傷させた責任は重かった。特別捜査隊の責任者である日向警部は二人を呼び出し、その責任について厳しく問い詰める。二人の直接の上司である葛城警部補が日向に嘆願し、懲戒免職は免れ装備課への異動という寛大な処分になったが、佐藤はこれを不服として警察を依願退職する。一方遠藤は左遷を受け入れ警察に残るが、自分と一緒に警察を辞めなかった彼を佐藤は責め、二人の友情もそこで終わる。


 遠藤が装備課で働き始めて半年後、東京から戻って来た城島巡査部長がチューンナップを頼むために装備課にやってくる。城島は日向との対立の末に東武署をやめた経緯があった。しかし警察、とりわけ東武署に対する非難が相次いでいることから、てこ入れとして再び呼び戻されたのだ。城島はパトロール警官の新見と沼田をスカウトし、それに陳と、麗子を加えて自分が指揮する特別捜査隊を作ろうとする。彼らは厳しい訓練と試験を乗り越え、正式に特別捜査隊として認められた。


 同じ頃、東京から宇都宮にやってきた麻薬組織のボスの息子・根津は、組織の金を横領した宇都宮在住の叔父を殺害し、組織を自分の支配下に置く。その後叔父の車に乗って市内を移動していると、たまたま車のテールランプが故障していたことから白バイ警官の職務質問を受ける。警官がナンバーを照会すると叔父に逮捕状が出ていたことがわかり、その車を運転していた根津は警察署に連行され、そのまま身柄を拘束される。偽造パスポートを所持していたため彼の本当の身元が判明せず、拘束期間は延び続けた。やがて業を煮やした根津は、部下を使って脱獄することを思いつく。


 それからしばらく後。城島の突入班が、パンツ一枚で散弾銃を乱射しながら住居に立てこもる男の逮捕に見事成功した直後、葛城課長が新たな任務を命令する。根津の身元がついに判明し、彼が国際指名手配中の麻薬組織の幹部であることがわかったのだ。その時根津は東武署の護送車に乗せられ移動中だった。城島らはこの護送車と合流し、彼の身柄を引き受けて刑務所に移送することになった。しかし既に根津に手を回し、警官に偽装した彼の部下が護送車からボスを取り戻そうとしていた。本物の警官と勘違いした運転手は護送車を停止させてしまい、部下らは銃で運転手を射殺、根津を連れ出した。まさしくその時、城島らが護送車に追いつく。路肩に並んで停止しているパトカーと護送車に警戒しつつ近づくと、偽警官の男がサブマシンガンを城島らに向けて発砲する。すぐに応戦し偽警官らは制圧され、偽パトカーで逃げようとしていた根津も逮捕される。


 一時拘留のために東武署に連れてこられた根津。テレビのリポーターがフェンス越しにインタビューを試みると、根津はテレビカメラに向かって「俺を逃がしてくれた者には1億出す」と公言。このコメントがテレビを通じて大々的に報道されてしまい、それを見て真に受けた悪人どもは根津奪取のために蠢動し始める。そして1億目当てのギャング集団と、城島ら特別捜査隊の「戦争」が始まった。

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