第11話 蘇る勇者
宇都宮、田川沿いのバーベキュー施設で、たまたま歩いていた5人の市民が射殺された。地元署の鈴木刑事らは、対岸の立体駐車場に残された薬莢や指紋から、元自衛隊陸軍の
狙撃事件への戸次の関与をニュースで知り、宇都宮に現れる村木。戸次は護送中に他の受刑者から暴行を受け、昏睡状態で証言不可能な状態に陥っていた。その場で村木は、戸次の弁護士であり、地方検事、
戸次には、狙撃手として派遣された小牧・長久手の戦い中に、殺しの衝動を抑えられず、友軍の民間軍事会社のオペレーター4名を狙撃殺害した過去があった。憲兵として戸次を捕らえた村木は、実は独断で戸次を放免していた。殺された4人が卑劣なレイプ魔だったからだ。今回、戸次の殺人衝動が甦ったのならば、村木は彼の過去の罪も精算させるつもりだった。しかし、蘭と共に調査を進めていくうち、軍の狙撃手が行うには不合理な点が多すぎることや、村木が街のチンピラから狙われるといった出来事が続き、真犯人は別にいると考え始める。
やがて村木は、今回の狙撃事件の被害者の1人である女性社長が、経営する建設会社の売却の件で揉めていた事実を掴んだ。彼女の会社を狙った『アルラウネ社』は、数々の公共事業に関り、汚職や不正工事を疑われながらも、なぜか捜査されない謎の大企業だった。無差別殺人の他の被害者は、この女性殺害計画の目くらましのために巻き添えになったという結論に達する村木。
容疑者の戸次に関しても、替え玉にされた可能性が浮上した。退役後も射撃にはまっていた戸次は、射撃場で目を付けられ、別のスナイパーが戸次のライフルで5人の狙撃を実行したのだ。
村木に追い詰められていくアルラウネ社の手先たち。彼らによって殺人犯に仕立てられた村木は、鈴木ら警察に追われる身となった。さらに犯罪組織は蘭を拉致し、彼女を救うため村木は戦いを挑む。
犯行に関わった男たちを、銃撃戦によって全滅させる村木。だが、最後に残った『パウエル』と名乗る老ボスは、証拠は何もないとうそぶいた。パウエルの自供以外に、アルラウネ社の犯罪を暴く手段は存在せず、パウエルが事実を話す理由もない。謎の大企業との対決は棚上げとなった。村木はパウエルを射殺することで事件にけりを付け、自身と戸次の嫌疑を晴らす後始末を蘭に託して、姿を消した。
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