第9話 内部の争い

 弥助はどこに行ったのだろう?僕は彼の独特な裏打ちのリズムに乗せたダンスや歌が本当に好きだった。彼のような軽やかさが、この清洲城の重苦しい会議場の空気を少しでも和らげてくれたらと思う。しかし、ここでは、そのような解放感を与えるものは見当たらない。


 会議は、ますます内部の争いに熱を帯びていた。勝家と秀吉の間の応酬は、以前よりもさらに激しさを増し、他の武将たちもそれぞれの思惑を隠さずに表していた。彼らの言葉は、夜の街を駆け抜ける車のヘッドライトのように鋭く、時には攻撃的だった。


「この会議は、もはや建設的な議論ではなく、ただの権力争いに過ぎない。」


 僕はそう思いながら、静かに周囲を観察した。僕の心は冷静な観察者のそれであり、他の武将たちのように情熱的に争うことはなかった。僕は彼らの動きを分析し、自分の立ち位置を見極めるための情報を集めていた。


 清洲城の会議場の空気は、緊張で充満していた。武将たちの一つ一つの言葉が、この戦国の世の未来を大きく左右する可能性を秘めていた。僕は、彼らの言葉の背後にある意図を読み解き、自分の次の一手を考えていた。


「この戦国時代を生き抜くためには、時には影から動くことも必要だ。」


 僕はそう自分に言い聞かせ、会議の終わりを待ちわびていた。この場から離れ、自分の計画を進めるために、僕はもっと有益な時間を必要としていた。


 僕は、勝家の力強い発言や秀吉の狡猾な応酬を、映画館のスクリーンを見るように冷静に観察していた。彼らの間の微妙な力関係は、一本のドラマのように展開していた。しかし、このドラマの主役は誰なのか、それはまだ定かではなかった。


 窓の外では、夜が深まり、城の周囲は静寂に包まれていた。僕は、その静けさの中で、勝家と秀吉の言葉に隠された本当の意図を探り、それが僕の未来にどのような影響を及ぼすのかを考えていた。

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