第2話 会議の開始

朝が来た。ついに会議の日だ。だが僕はいつも通りに目を覚ます。特別な日だという実感はない。ただの1日の始まり。外は朝日に照らされていたが、僕の心は曇り空のようだ。


「こんな会議、何が変わるというのだろうか。」


僕は静かに準備を始める。鎧を身につけ、刀を腰に。でも、これが本当に必要なのかと、ふと疑問に思う。会議には、武器などいらない。言葉が刀となる場所だ。しかし、それがどれほどの意味を持つのか、僕にはよくわからない。


清洲城に向かう道すがら、僕は考える。柴田勝家、豊臣秀吉、そして他の武将たちがどんな顔をしているのか。彼らも僕と同じように、この会議をどう思っているのだろう。ただ、僕にはどうでもいいことだった。


城に着いた時、すでに多くの武将が集まっていた。彼らは緊張感に包まれているように見えたが、僕にはそれが演技に見えた。みんな、自分の野望を抱えている。この会議がそれを叶える場なのかもしれない。だが、僕にとっては違った。


会議場はざわついていた。武将たちが小声で話し合っている。彼らの間には見えない力が働いているようだった。誰が支配し、誰が従うのか。その答えを探すかのように、僕も周りを見渡す。


「始まるぞ、長秀。準備はいいか?」


誰かが声をかけてきた。僕は頷くだけで答えた。僕の心の中では、既に会議は終わっていた。何も変わらない。変えられるものなど何もない。ただの会議。ただの言葉の応酬。


会議が始まる。武将たちが次々と意見を述べる。でも、それらは僕には無意味に聞こえた。言葉だけが飛び交い、本当の意味は何もない。みんな自分の立場を守るためだけに話している。僕は、そんな彼らを冷ややかな目で見つめる。


「こんなことに何の意味があるのだろうか。」


僕はぼんやりと会議を見守る。何かが変わるわけでもなく、新しい何かが生まれるわけでもない。ただ時間が過ぎていくだけ。この会議は、ただの形式的なものに過ぎない。僕はただ静かに、その場にいた。

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