　ナナリーさんの言葉を胸に、私はリディアと再び対面するために勇気を出しました。

　彼女に直接尋ねることが、私自身の心の平穏を取り戻す鍵だと感じていたからです。

　部屋に入ると、リディアは窓辺に立ち、窓の外を見つめていました。

「リディアさん、なぜこんな時にここへ来たのですか？」

　私の声は少し震えていましたが、質問ははっきりとしたものでした。

　リディアはゆっくりと振り返り、軽いため息をついてから答えました。

「何も、あの男、エドモンドについて理解していないのね」

　彼女の口調はやや諦めが混じったものでした。

　私はリディアの言葉に少し驚きました。

　彼女の言葉はエドモンドに対する何か深い知識や理解を示唆しているようでした。

　彼女の目には、複雑な感情が浮かんでいました。

「どういう意味ですか？」

　私は尋ねました。リディアの答えは、私にとってエドモンドとの過去を再評価するきっかけになるかもしれません。

　リディアの告白に、私は驚きとともに深い困惑を感じました。

　彼女もかつてこの屋敷で働き、私と同様に厳しい労働を強いられていたという事実は、私のこれまでの屋敷に対する認識を揺るがせました。

　リディアは続けて、屋敷を離れ、さまざまな場所を渡り歩いた後、なぜかここへ戻ってきたと語りました。

　その決断の背後には、彼女なりの理由や動機があるのだろうと思いました。

　そして彼女は、アレク様に対する興味を隠そうともしなかった。

「アレクがあんな顔をして感情を見せるなんて、ありえないことよ。だから興味があるの……一体何が彼をそうさせるのかしら」

　彼女は言いました。彼女の視点からは、アレク様の行動に何か特別な意味があるように見えたのでしょう。

　リディアは私に対しても興味を示す。

「あなたのことを色々教えて」

　彼女の好奇心は明らかで、私の立場やアレク様との関係に興味があるようでした。

　その時、私はどう対応すべきか戸惑いました。私は単なるメイドであり、アレク様とは主従関係にあるだけです。リディアの問いかけに答えるべきか、それとも沈黙を保つべきか、私の心は揺れ動きました。

　しかし、私は自分の立場を守りつつも、リディアに対して礼儀正しく対応することを選びました。

「私はただ、アレク様に仕えるメイドです。それ以上のことはございません」

　そうはっきりと言いました。

　リディアは納得したのか、してないのかは分かりません。

　だけど、微笑みながら。

「まぁ、今はそれでいいわ……仲良くしましょ、メイドさん？」

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