同じクラスにいる清楚で可憐な優等生がちょっとエッチなお姉さん系VTuberだった

第123話 カップル達の帰り道

　花火大会が終わった僕達は大勢の人達と共に駅へと向かう。

　ただあまりに人が多く身動きが取れない為、一旦道路の端に避難して休憩をしていた。

「やっぱり人が多いだけあって、駅に人が集まってくるわね」

「それならどこか近くのファミレスで休んでいかない?」

「菜々香ちゃん、それは無理よ」

「どうしてですか?」

「これは私の予想だけど、ファミレスはこの混雑を事前に予想して避難した人達で溢れかえってるはずだから、中に入ることは出来ないわ」

「そしたらやっぱり駅に行くしかないのか」

　正直これ以上奥に行くのはしんどいけど、覚悟を決めていくしかない。

　ただ僕は駅に入る前に確認しないといけないことがあった。

「そういえば彩音さん達はどこにいるんだろう」

「さっき私が電話した時この場所のことを伝えたから、もう少ししたらここにるはずよ」

「さすが姉さん。頼りになる」

　姉さんが2人に連絡してくれたのなら大丈夫だろう。

　ただなんだだろう。彩音さん達の話をした後、姉さんの眉間に皺が寄ってるのは僕の見間違えかな?

「どうしたの、姉さん?　何かあった?」

「別に何でもないわよ。むしろこれから起こることを予見して、頭が痛いだけだから気にしないで」

「どういうこと?」

「それは見ればわかるわよ」

　見ればわかるとはどういう事だろう。

　これから一体何が起こるんだ?

「みんなお待たせ!」

「彩音さん、一体どうした‥‥‥えっ!?」

「斗真君は何を驚いてるのですか?」

「だってサラさんが彩音さんの腕に手を回して、体が密着してるじゃないですか!?」

　彩音さんの中世的な容姿もあいまり、美男美女のカップルが歩いているようにしか見えない。

　なるほど!　姉さんが眉をしかめてたのはそういうことか。電話をした時事前にこうなることがわかっていたから、眉をしかめていたんだ。

「何かおかしい事でもありますか?」

「おかしいことはないですけど、どうしてそんなに仲良くなったんですか?」

「私達が仲いいのはいつものことじゃないですか。そうですよね、彩音?」

「そうだね。僕達の仲が悪いなんて、斗真君の見間違えじゃない?」

　僕の勘違いということはないはずだ。現にこの2人はここに来るまでの間、お互い口を一切聞かない程の喧嘩をしてた。

　それがこんな短時間で仲良くなったのは何かあったのだろう。一体姉さんは2人に何をしたんだろう?

　それが僕にもわからなかった。

「それよりもこれからどうするんですの?」

「人込みも多いし、どこかファミレスでも入って時間を潰す?」

「たぶんこの時間だとファミレスには入れないから、僕達はそのまま駅に行くつもりです」

「わかった。人混みが凄いから、僕から離れないようにね。サラ」

「もちろんですわ」

　ダメだ、これは。今の彩音さんとサラさんはバカップルにしか見えない。

　見ているこっちが目を覆いたくなるような2人のいちゃつきっぷりに僕は辟易していた。

「あの2人には仲直りしてほしいとは思っていたけど、まさかあんなバカップルになって戻ってくるとは思わなかった」

「それを斗真が言うの?」

「えっ?　どういうこと?」

「わからないならいいわ。それより私達も駅に行くわよ」

「わかった」

　あの2人が先に進んでいくのを黙って見ているわけにはいかない。

　僕達も早くいかないと置いてかれてしまう。

「ななちゃん、僕達も行こう」

「うん!」

　ななちゃんの手を優しく握り、僕達も駅へと向かう。

　なんだかななちゃんの距離がいつもより近い気がしたが気のせいだろう。

　なるべくななちゃんと距離が離れないように手を繋ぎ、2人で駅へと向かった。

「琴音」

「何?」

「私お腹一杯を通り越して、胸やけがする」

「しょうがないでしょう。今は我慢しなさい」

「姉さんに秋乃さん、そんなところにつっ立ってどうしたんですか?　早く行きましょう」

「今行くわ!!」

　ただでさえ人込みが多いのだから、みんなでまとまらないとはぐれてしまう。

　それなのに姉さんと秋乃さんはその場で僕達のことを呆然とした表情で眺めていた。

「ねぇ、秋乃」

「何?」

「非常に不本意だとは思うけど、私と手をつなぐ?」

「いい。自分で歩ける」

「だよね」

「姉さん、どうしたの?　早く帰ろう」

「わかってるわよ!!　今秋乃をそっちに連れて行くからそこで待ってなさい!!」

　それから僕達は満員電車に乗り事務所へと帰る。

　満員電車に乗っている最中、げんなりとした表情をする姉さんと秋乃さんの表情が忘れられなかった。

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