第9話 トラウマが、有るんだよ
「……………………捨て犬と捨て猫、ですね?」
「はい、そうです。診ていただけますか?」
「いくつか、確認したいことがあります。」
まあ、当たり前の事なんだけど、『飼うことができるのか』と言う事と『支払い』の確認で、僕は即答で『はい』と答えて問診票を渡されて書き始めた。
書き終えて、受付の女性に渡して、
「………………………………はい、では今待合に居る患者様が終わったら連れて来てください。野良の場合は他の患者様との接触は避けさせていただいておりますので、ご了承願います。」
………………………………と言うことは、今僕の後ろにいる西河が出て行くまではワンコとにゃんこと法川さんは中に入れないって事で。
「はい、了解しました。連れが居るので表で待たせてもらいます。」
そのまま出ようとしたら、西河に呼び止められた。
「ねえっ!」
無視しようかと思ったけれど、反射的に答えてしまった。
「っ、何だよ!」
「いや、そんなに嫌わないでもらいたいんだけど?」
「………………………………嫌ってるつもりは無いぞ。苦手なだけだ。」
「………………………………はぁ〜?どういう事だよ!」
「………………………………言わなきゃ、駄目か?」
「駄目だ。教えて。」
「………………………………トラウマが、有るんだよ!『巨乳ギャル』にっ!」
「………………………………………………」
「………………………………………………」
「はぁ〜?何それっ!そんなんで、私は無視されてたのかよっ!」
「………………………………無視したつもりは、無いぞ?」
ホントに、無視したつもりは、無い。
固まって、答える前に、コイツが切れてまくし立ててただけだぞ。
「……………………………じゃぁ、何で?」
「連れが居るから、後にしてくれ。さっき言った通り、お前が嫌いな訳じゃ無いぞ。苦手なだけだ。答える前に、一方的に話しかけてきてただろ?」
返事が来る前に、相変わらず尻尾を振りまくり鼻息が荒い猟犬を避けながらドアを開けた。
飼い主には、この子を見習ってほしいもんだな。
キツい言葉には、それなりの応え方しか出来ないんだからな。
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