第43話

「暑い」

気象を操作できるようになって随分経つが、気温を観測して制御装置が稼動するまでのラグはどうしても発生する。また、影響範囲が広い場合、作物に対する影響への対応や自然災害に対する対応が優先される為に人間様が快適になるまで時間が掛かることがある。


「冷房も効かないか…」

室外機の周囲に物を置かないとか直接日が当たらないように影にするとか対応をしているものの、外気温が40℃を越えるような場合は、冷房の効きが悪い。


そんな事を日々ぼやいていたら、「ちょうど良い仕事があるよ」と先輩に呼び出された、今現在。


「お願いしたい仕事は単純で、都内研究所で種改良と絶滅危惧種の保護を行っている場所で、動物への給餌と生態観察のお仕事。対象がちょっと極地に住んでた主なので、ちょっと肌寒い環境でお仕事やってもらうけれど」


暑さに頭がやられていた俺は、深い事を考えずにこのお話に乗る事にした。

まさか、これが「『南極の覇者』と呼ばれる大型コウテイペンギン」と、それを野に放った団体を裏切りペンギンハンターと呼ばれた男の出会いになるとは、誰も思っていなかった…

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