第27話

「なぁ、到達不能極って知ってるか?」

「陸上で海から最も遠い点、海上で陸から最も遠い点だっけ?」

「そう。太平洋上の到達不能極は、人工衛星の墓場になっているらしい。」

「最後の最後に狙ってそこに落とすのは凄いよなぁ。」

「確かに。俺だったらスラスターふかしまくって、宇宙の彼方に飛ばせないかをまず考えるな。」

「ははは、俺もだよ。」


20世紀後半に始まった宇宙開発により、空いている静止衛星軌道を探すのが困難になりつつある。下手に破壊すると衛星軌道上にデブリを撒くことになるので手が出せない物もある。

「デブリ回収衛星ねぇ。これが無いと安全が確保できないとは。」

「まだ、人手で回収しないだけ安全さ。お前、回収に行きたいか?」

「いや、遠慮しとくよ。まだ星を眺めていたいしな。」

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