自分観察記録

田所米子

内臓逆位とは?

 某神拳の「こんなに悲しいのなら愛などいらぬ!」な方の体質のことです。……最初から説明を丸投げするなって感じですね。すみません。つまり、内臓の配置が通常の逆、鏡に映したようになっているのです。


 私はまず、心臓が右側にあると言われました。小一の時、初めて受ける検診で引っかかって住んでいる市(ちなみにド田舎)で一番大きい病院に連れていかれて判明したのです。

 もっとも、私自身は覚えていませんが二歳か三歳の時、風邪をひいて病院を受診したら「心音が弱すぎる」ということで入院させられたそうです。五歳ぐらいの時に祖母に心音を聞かれた時は、「心臓の音が聞こえない」と真顔で言われたりもしました。この時私は「マジで? 生きてるのに!?」と思いました。こういうのを伏線って言うんでしょうね。


 それから私は担任でもない教師にまで心臓が右にあることを知られていたなど、それなりに珍しがられ、しかしすくすくと悪ガキに育ちました。親から特に過保護にされたとかも全くありません。というか大人になって話の流れで自分で言うまで、父は私が内臓逆位であること知りませんでした。上記の中学生の時私を病院に連れて行ったのは母で、その時既に両親の仲が壊滅していました。そのため恐らく母は、私の体のことを説明するため父と会話をするのを嫌がったのでしょう。

 何か面倒があったとすれば、何も悪いところはないのに心音の検査に時間がかかったり、念のためもう一回検査されるぐらいでした。私はあの心電図検査の時に着けられるやつが嫌いなので(吸盤みたいなやつがめちゃくちゃひんやりするから)、正直一回で終わらせてほしいです。あと一回やられたんですけど、他の患者さんもいる前で「この人心臓が右にあります」はやめてほしいですね! 個人情報やぞ。


 なにはともあれ中学校に上がったら、今度は病院でエコー検査を受けるよう言われました。そして、心臓以外の内臓も逆にあるのが分かったのです。その時私は「心臓が逆にあるなら内臓も逆にあることもあるか~」と思いました。なお、私は血液の循環も逆なようです。人によっては心臓の血管がでたらめに繋がっていて、心臓の位置は逆なのに血液の循環は通常通りの方もいるそうですが。ちなみに私には弟がいるのですが、弟は普通の内臓をしています。


 ただ、内臓逆位とは奇形の一種なので、震災の後世間で色々言われていた頃はちょっと色々考えましたね。分かっています。体に異常があると命に係わることもあると。でも、普通の体の人にとって、普通ではない体で生まれるのはそんなに「駄目」なことなのか、なんて。もっとも、これは私が全くの健康体であるからこそ思えることなのかもしれません。私たちは結局、生まれ持った体で生きていくしかないのですから、あれこれ考えたところで仕方のないことなのです。

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