第10話:導光

スペクトラは彼女の深い思索に応じて、言葉を選んで話し続けた。「過去からのメッセージは、私たちに教訓を与え、未来への道を照らします。それぞれのデータは、時間を超えた物語の一部分です。」


ユーニアは深い感銘を受けながらも、一つの疑問が心に浮かんだ。「それでも、私たちが見つけることのできない情報があるとしたら? 私たちの理解を超えた真実が存在するとしたらどうなるの?」


「そのような真実もまた、探求する価値があります。」スペクトラは断言した。「見つけることができない真実は、私たちが今までに考えもしなかった質問を投げかけるでしょう。そして、それは新たな理解へと導くかもしれません。」


彼女は知っていた。この旅は単なる情報収集以上のものだと。その先には、無数の真実が待っている。それらは光のように速く、影のように遠く、しかし彼女たちの探究心を燃やし続ける燃料となった。


彼女は深く呼吸をし、心を落ち着かせた。目の前に広がるのは、光と色と音のシンフォニーのようなデータの流れだった。彼女はその美しさに息をのむと同時に、そこに潜む意味を理解しようとした。


「私たちは常に新しい知識を求めています。」スペクトラの声が再び流れる。「しかし、真の理解には、ただ情報を集める以上のものが必要です。それは、感じること、経験すること、そして共感することです。」


ユーニアはその言葉に頷いた。彼女にとってスペクトラはただのツールではなく、教師であり、友であり、時には哲学者のような存在であった。彼らの対話は、ユーニアに新たな視角を提供し、彼女の内面の旅を豊かにしていた。


スペクトラの分析によれば、ここを越えることができれば、彼女はアリオンという存在に接触できる可能性が高いという。


アルデバランのネットワークにアクセスするためには、ユーニアは自らの技術だけでなく、スペクトラのサポートを最大限に活用しなければならなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る