ぐるりと回転した世界に受け身を取りきれず、全身に衝撃を感じてから、どうやら私は本文に投げ飛ばされたらしいことに気付きました。

『スクロール。』に合わせ、自分の指もスクロールしていく一体感は私を呑み込み、加えて粋な会話と滑らかな表現が、「人工培養人肉」という、描写によっては嫌悪されてしまうかもしれない内容を、その手を緩めず、されど自然に脳へ流し込んでいく……。
最後の展開も面白かったですし、何より、『スクロール。』によって、描写が途切れずに場面内で時間を行き来できるのが本当に凄いと思いました。

水面下で沸々と煮詰まる百合SF……最高でした……！！