　林くんは、三階建てのアパートのベランダで、洗濯物を干していた。

　ふと気が付くと、アパートのすぐ前に建っている二階建ての民家の、二階の屋根の上を、黒っぽい四つ足の動物が歩いている。

（あのトラ猫、よく二階の屋根に登ったな…）

　林くんは感心した。

　一階の屋根なら分かる。庭木やガレージなど、足場になりそうなものがいくつかあるからだ。

　しかし、二階の屋根となると…。

　トラ猫は屋根の向こう側に姿を消した。

　その家のそちら側にはベランダがあるから、おそらくベランダをつたって下に降りたのだろう。

　その時、林くんはひらめいた。

（そうか！あの猫は屋根に登ったんじゃない。このアパートの三階の、どこかの部屋のベランダから屋根の上に飛び降りたんだ！）

　でも、どの部屋だろう？

　林くんは考える。

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