11月5日 夢日記『会社』
11月5日 夢日記
……俺は暗闇の中を歩いている。
全身真っ黒な服に身を包み、暗闇の中にしっかりと溶け込んでいる……まるで俺自体が実態のない影になった気分だ。
影になった俺は通りを歩いていく。あたりは暗闇、人は居ない。
影に同化しながら、俺はある場所を目指しているようだ。
俺はそのある場所に着いた……鉄の重い門を乗り越え、その建物の中に侵入する。
時間はおそらく真夜中だろうその建物の電気はついておらず、人が居る気配はない。
入り口の前に着いた。ここは何処だ?よく見ると見覚えのある建物だ。ここは……俺の会社だ。
俺は会社で、一体何をするのだろう?まるで他人を見るような感覚で、自分自身を眺めている。
もしかすると俺は、もう夢の中だと気づいていたのかもしれない……
俺は辺りを探し、手頃な石を探した……ちょうど煉瓦が花壇に積んであった。俺はそれを手に取る。
手にした煉瓦を、入り口の扉に思い切り投げつけた。
煉瓦は窓ガラスへ当たり大きな音を立てる。
窓ガラスは勢いよく辺りに飛び散った。
飛び散ったガラスの破片はまるでスローモーションのように映る。
俺は、割れた窓ガラスに手を入れ鍵を開けた。
窓ガラスの破片が腕を切り裂き、血が吹き出す。
夢の中の血は、どす黒く闇の中にそのまま溶け込んでいった。
痛みは、酷くぼんやりと曖昧に広がっていく……夢の中でも不思議と痛みを感じていた。
事務所に入った俺は、目につく机を片っ端からひっくり返していく……
机の上に置いてある電話や花瓶、資料が宙を舞う。
何か苛立ちをぶつけるように事務所を荒らしていく。
全てがスローモーションで再生されるように目に映った。
事務所を一通り荒らしたあと作業現場に向かう。とても機嫌が良さそうに軽快にスキップをしている。
作業現場の機械を鼻歌を歌いながら、近くにあったバールで破壊していく。
繊細な設定が必要な機械を力一杯、バールで叩き壊す。
機械は壊れ、部品が散乱している……もうこれでは作業は無理だろう。
壊れた機械を眺め満足しているようだ。
鼻唄混じりで、通路をスキップをしている。
とても上機嫌に会社中の窓ガラスや壁を手当たり次第壊していく。
バールで叩きつける破壊音が、暗闇の中を彩る……俺は破壊音をバックに鼻唄を乗せる。
破壊されたガラスや壁の欠片が宙に舞う。
俺の鼻唄に合わせて一緒に踊ってくれているようだ。
荒らされた事務所、散乱している機械の部品、割れた窓ガラス、穴の空いた壁を眺めて満足した。
「楽しいね……」
背後から声が聞こえた。あの少年だった……
「物を壊すのは楽しいね……」
少年は続けてそう言う、表情は笑っているように見える。
「昔に戻ったみたいだ……」
昔?どう言う事だ?俺は少年に聞いてみる……
「昔って何だ……教えてくれ」
少年は答えない。
「君は、一体誰だ?」
俺は少年に質問を続ける。
「やっぱり忘れているんだ……また遊ぼうね……」
その言葉を最後に夢は終わる。
破壊的でとても奇妙な夢だった。
そして……君は一体誰なんだ?
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