第9話 旅立ち前夜
ママの言葉を待つよりも先に、強く頷いていた。
どこへ行くとも決まっていないし、船の乗り方さえわからないというのに。
「言うと思った。だから知人の船乗りを呼んであるから明日の夜から出航したらどう?」
「なんだかママ、簡単に言うね」
「あら? これでも結構心配してるつもりよ」
本当かしら。
その割には先に準備万端じゃないの。
「その人はとても頼りになる人だし、もう一度ショーンに会いたがってるのよ」
「会いたいってったって、パパは……」
もう死んでいるのに。
そう思ったけど、言えなかった。
「ローズが海に夢を描くような子じゃなかったら、そう言っておくつもりだったのにな」
ママが今にも泣きそうな顔で微笑んだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます