第7話
私は大学に進学するに合わせて、実家を出て一人暮らしを始めました。
実家が好きではありませんでした。
特に、4つ下の弟が嫌いで。
些細な理由です。どうでもいいようなことです。
2人がけのソファを1人で独占するとか、
家事を1つとして手伝ってくれないとか、
気に入らないことがあったら聞こえるか聞こえないかくらいの声量で愚痴を言うとか、
どうせ泣く癖に何かと突っかかってくるとか、
そういうどこの家にでもあるようなことで、私は弟を嫌っていました。
家で2人きりの時間があると、必要最低限のことをしてあとは部屋に引きこもっていました。
そういうときは大抵、弟が意味もなく隣の部屋から壁を叩いてきてそれもストレスでした。
そして弟を心底嫌っている私に、「なんだかんだ仲良いの分かってるよ」みたいな顔して話しかけてくる親が苦手でした。
「あんたらは他所の姉弟と比べても断然仲良いよ」といつも言われました。
恐らく、弟は私のことが好きでした。素直でないだけで。
でも私は本当に弟が嫌いで、ただただストレスでしかありませんでした。
それが嫌で、県外の大学を選びました。
弟と離れてストレスフリーな生活を送っています。
しばらく会ってないおかげで、弟から稀に連絡が来ても嫌悪感はだいぶ抱かなくなりました。
親とも定期的に連絡を取るようになりました。
特に母には、
今日大学でこんな勉強したよとか
友達とこんなとこに遊びに行ったよとか
何かしらこまめに言うようになりました。
家族だとしても、馬が合わない人種というのはやはり存在するのでしょう。
毎日顔を合わせるのはしんどいが、たまに連絡を取るくらいなら良いというような。
私にとって私の家族は皆そのタイプなのです。
父と母には一生をかけても返せないような恩があるし、愛していると断言できます。
弟には、人としてまともに生きて欲しいと、両親に迷惑をかけずに生きて欲しいと思っています。
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