第4章・第二イベント

第27話・イベント初日はお店

 イベントが始まる日付、準備を終えて私達は船着き場に集まる。港がしっかりできていて、そこから船で王国に出向くようだ。


 イベント参加中はそこに出向き、イベントに参加。一時離脱などで船を利用できるらしい。期間は一週間。出航などの時間帯を確認して畑とイベントを両立できるように話し合う。


「いいんでしょうか旦那様? リリィも一緒で」


「しばらくは向こうメインで働いてもらうから。私達からしたら連れて行って仕事させて申し訳ないくらいだし」


「服飾ギルドからはしっかりと下請けを受けなさいとのことです。若葉様のところで働けて、楽しいですし、服飾としての資質も上がっていますから」


「そうですか」


 パーティメンバーは私、ダイチ、カナリア、ソフィ、ルビ、ユキのフルメンバー。リリィは若葉さんのところに入り、移動することに。


 その間も他の人が店を守ってくれるので安心して出かけられる。


 こうしてイベントへと向かうのでした。


 ◇◆◇◆◇


「あらあら」


「ここは………コボルトが多いなー」


 イベント先の王国はコボルトとケットシーの王国で、犬と猫の人達が仲良くやり取りをして生活している。


 人間用のスペースがあるらしく、人族などはそちらに移動を頼む兵士の人。私達は連れがそうだから、そちらに移動。


「こんにちは、獣国へようこそ。私は右大臣の『ポチ』です。主に農業と漁業を担当しています」


「左大臣の『ミケ』です。主に商いと金庫番を担当しています。精霊人の冒険者の皆さんのご来航、誠に感謝しています」


 彼らの話では最近、海の怨念や呪いなど、危ない物を封じ込めて、安らかに浄化する遺跡が機能が壊れて、アンデッドが中で暴れている状態らしい。


 これはまずいと、コボルト王フゴウはケットシー騎士団と共に動くことにした。


 まず外部の人に助けを求める。今現在、左右の港から人が流れてきている。その中には腕に覚えがある者もいる、遺跡内にある宝石や貴重アイテムを渡すことを決定。


 本来は死者と共に眠らす財産だが、その死者が荒らすのだから代金として払うのが良いだろうし、こちらで買い取って再度遺跡で眠らせるのも良いだろうとのこと。なによりもこの遺跡、かなり前から危険が多く、中で散った冒険者の物もあるため、遺跡内部の品物は持って行っていいとのこと。ダメなのは買い取りで頼まれた物だけ。


 次に一部市場を作り、財政の活性化を狙っていること。価値が分からない物もある中、外からの知識でより国を豊かにしたいとのことで、そちらの手助けも求められている。


 イベント期間、特別にポイントが割り振られ、そのポイント稼げば前回のようにアイテム交換できるとのこと。


 そのような話を聞き、店を持つ人は連絡をと言われたので、レンタル代を払い、大き目の店を借りる。即興で作られたにしては良い店を借りた。


「私達の店だから、まずは付与術で強化したアクセサリーと武器防具類。次に売るのは………」


「空腹値を回復する料理ですね。みりん、お酒、お米も売りましょう」


「あとは回復薬などを少々と、錬金術関係の品物だね。精霊石が手に入ればそれで作った物も売ろう」


「あとはクラフトオーダーですね。頑張りましょう」


「私は遺跡の探索もしてみるよ。ソフィはそちらの方が楽しいし、カナリアはそろそろレベルが上がって進化するだろうし」


「頑張りましょう」


 こうして店を初日出すことにしたが、人はかなり来る。


「釣り竿ください。やった、魔法の釣り竿だ」


 錬金術で強化された魔法の釣り竿。餌が無くても一定の魚を釣る竿、決して糸がちぎれない竿、品質の良いのが釣れる竿と、効果は様々だ。


「調味料が揃えられた! やったぜ」


「お酒は楽しみだ。日本酒があるなんて」


 そう、お米からお酒を造ることができた。日本酒も売りに出したら、やはりというか嗜好品として買い込む客はいた。


「べっこう飴はこんだけあれば多少は持つな」


「ああ、気軽に探索するときはこれくらいがちょうどいい」


「角煮が売られてる。ストライクボアの角煮!」


「うまそう、人数分買おうぜ!」


「白米白米白米!おにぎりは塩とシャケ握りか!」


「お米は生産ラインが整って無いから、売り切れるかもしれないから気を付けなきゃいけないな」


 料理系はしっかりと売れている。


「火力は火属性か。中級系は少し弱いな」


「私は火メインだから良いわ。このシュシュ買います」


「アンデッドですから、神聖魔法の消費量を減らすのが良いですね」


「後は異常状態対策だな。料理にもバフがあるから、組み合わせて行こう」


 こうして武器類はそこそこだな。他の物に比べれば売れていない方だな。鍛冶レベルと付与術のレパートリーが少ないのが痛い。


 薬は元々他の人のも強力だから次いでと言う感じだ。こちらは他のプレイヤーと協力した方が良い品を提供できそうだ。市場を巡って、品質の良い薬を作るプレイヤーを探すか。


「すいません、スカーフ系で風付与の物はありますか?」


「はいはい、これとこれとこれだね」


「ならこいつで」


「装備を少し新しくしたわ。これでまずは様子を見ましょう」


「お買い上げありがとうございます」


 こうして初日は忙しく過ごすのであった。

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