第19話・海の探索

 町レベルが上がり、港の整備が入る。大工ギルドが船が入れるよう港を開発、漁船を作り始めた。


 ランクが上がり、野菜や果物が増えた。夏季柿、シャッキリ白菜、紫キャベツ、水飴大根。それとネンリンゴボウとダイダイレンコン。レンコンは水辺でないと育たないため、工夫することにする。


「川から水を引いて作ってみたんだが、いけるかな?」


「とりあえずやってみましょう」


 若葉さんと共に協力してレンコンを作る場所を作り、ダイチと共に育てる。そんなことをしながら、私達は海辺に来た。


「それじゃやりましょう」


「おー」


 システムで分かったのだが、水魔法を持つ私は水中補正の付いた服や防具が作れるようだ。


 だからどこまで補助するか、役に立つか検証するため、検証を手伝ってくれるプレイヤーの人と共に海の中を探索する。


「タダで良いんですか? 水中歩行補正や水泳補正が入った装備ですが」


「能力的には弱いからね。あとそれだけじゃ溺れない?」


 溺れた。


 うまく泳げることもあるが、少しずつ慣らそうという話になり、浅瀬で行動する。カナリアは空に浮き、ソフィは砂で遊び、ダイチは海の中までくるが、浮かぶことはできず沈んでいる。


 若葉さんがスキルで水泳が生えたことを話して、全員習得して練習する。泳ぐのは何年ぶりだろうか?


 モリを持って潜る人や、貝殻を潜って獲る人もいる。私は後者だ。若葉さんはモリを使い、魚を取ってみたいとチャレンジしている。


 潜っているとモンスターが出た。水中モンスターで魚系だ。


 カツカツオと言うモンスターなため、ドロップ品目的で全員で仕留めた。


 貝のモンスターも出て来た。あの島に出たモンスターで貝柱のために狩る。これを繰り返して水泳スキルをレベル5まで上げた。


「新しいスキルですよあなた」


「水中呼吸に水中歩行か」


「あれ? 私には水中呼吸はありませんね」


 どうも水魔法を持っている人だけ、呼吸するスキルを持つことができるらしい。これらを取ると、水中ではだいぶ動けるようになった。


 これと手漕ぎボートがあれば呪われた海域を調べられるかもしれない。ボートの作り方は大工ギルドのレシピ欄にあったため、製作することになる。


 魔物が嫌がる匂いを持つ大木を選び、使う必要があるが、それは北エリアに来ているプレイヤーが持っているかもしれないから、クエストを発注してみる。


 報酬はギルドの受付さんに話を聞いた。


「そうですね。ボートほどですと量が必要ですから、5万Gまたは宝石布の、これとこれを五枚ずつでつり合いは取れます」


「なるほど」


 失敗も考え、そこそこ量を集めるようにした。以外にも布との物々交換が多かった。まあ錬金の本で習得だからね。レシピ本はギルドを通して写本している最中。


 錬金術にボートのレシピは無いか、夜姫に聞いた。すでに持っている木工の本に書かれてるよと言われたため、レベルが足りないのかよく読み込むことにする。


 その間は水泳の練習と、港発展クエストをしながら店の経営をする。若葉さんの手料理が喜ばれ、近所のNPCの子供からおばちゃんと懐かれていた。


「はやく孫とゲームしたいですね」


「第二陣のゲーム買うって言ってたから、それまでだろうね」


 ソフィに頼まれて戦闘しに行ったりと、やることは多い。


 遺跡エリアより先にダンジョンも発見されたそうだから、そちらを今度は見に行こうと思う。


 水泳で手に入れた食材を並べてスクショして、ブログに載せる。最近は若葉さんの現実でも使えるレシピを載せている。こっちもコメント不可なのだが、買いに来る人曰く、人気らしい。


 他に我々がすることは、アクセサリーだろう。


 すでにある宝石を加工してオリジナルの品物を作る。黒鉄の宝玉を改造したものよりかは下の物だが、確かにアクセサリーはできていた。


 これらやシュシュなどのアイテムを売ると、そこそこ売れている。アクセサリー系は装備品としてはドロップ品しか無く、装備欄が空いてる人が多いとのこと。


「リクエストというか、アンケートもあるから答えてね」


「助かります」


「火力特化の品物が欲しいって書こう」


「特化系な。装備できれば可愛い系でも良いっと」


「俺はバランス系でもいいからなー」


 アンケートは安い方が良いが、性能が良いと高めに設定した方がいいと、ゲーム慣れしていないことを考慮して答えてくれる人がちらほらいた。これは助かる。


 性能特化を考えて作ることにして、毛糸を作る若葉さん。


「これであみぐるみや人形を作ろうと思います。効果があるアイテムになればいいんですけど」


「なんでもやってみよう」


「そうですね。少ししたらログアウトするので、リアルのご飯お願いします」


「あいよ。確かシャケの冷凍があったなー」


 そして私はログアウトして、焼き魚と野菜などで美味しく仕上げる。


 ついでだからと、こっちもブログに上げた。味噌汁もちゃんとつけて、いい出来の晩飯だ。


 沖に出る事ができれば、魚素材が豊富になるはず。ボート作りを頑張ろうと思う。


 こうして二人で食事をして、ゲームのためにサイトをチェックしながら明日に備えた。最近腰は良いが、温泉にでも行きたいねえ。

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