第34話


 「フレン?」


 「はい」


 「葵のこと頼んだよ、って言ったよね?」


 「そうですね…」


 「これはどういうことかな?」


 「えーっと」



 フレンは困った顔していた。


 フッシーのめんどくささは、嫌というほど知っている。


 一度怒ったら日を跨ぐまでは終わらない。


 こうなったらドーナツでも献上しようかな。


 駅の近くにある『ダンウェル・ドーナツ』は、最近できたばかりのドーナツ専門店だ。


 何度かみんなと寄ってシェアしたんだが、めちゃくちゃ美味しかった。


 フッシーは甘党だし、絶対に喜ぶと思う。


 一旦逃げない?


 どうせ長くなるよ、これ。



 アカネにウィンクして促すが、うまく通じない。


 いっそアカネを盾にするにも手なんだが、そんなことしたら、1週間くらい口聞いてくれなさそう。


 ただでさえ今日のこともあるしなぁ…


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