第27話 "そのポーズ"は言ってることが違いすぎる!!!
「そらっ!!」
カキンッ!!!
「しゃあっ!!私の勝ちー!!」
俺と柚葉はゲームセンターでエアホッケーをしていた。
それで小さい子のように喜ぶ16歳児の
「お前喜び過ぎだろ。たかが一回勝っただけでさ」
そう、柚葉は俺に5敗していた。それで6度目で俺がわざと負けた。おっと、何も大人気ない訳ではないぞ?勝負は非情だからな。全力でやるんだよ。でも、流石に5回はやり過ぎたから負けてやった。
「隼人はゲームが強すぎる!!」
「別に普通にやってるだけだよ。柚葉がスマッシュを狙い過ぎなんだよ」
「だって爽快じゃーん!一撃必殺って気分良くない?」
「気持ちは分かるけど……でも、それで負けたら逆にストレスになんない?」
「そう!だから今凄いムカムカしまくってる」
「……でも最後は勝ったじゃん?俺、本気でやったけど流石に疲れちゃったから柚葉の方が体力あるんだよ」
「えー?そうかなー?」
そう言って嬉しそうにする柚葉……。
やっぱチョロいな。
「……あ、じゃあさじゃあさ!!私と隼人の勝利記念として写真撮ろ?」
「え?写真?自撮りで?」
「隼人君……ゲームセンターの写真と言ったらこれしかなくない?」
「え……まさか……」
「プリクラ♡」
「帰る」
「待って待って!!」
俺は帰ろうとした所を柚葉に引き止められる。
「撮ろうよ!!別にいいじゃん!!!」
「いや、俺はそういう自分の写真をデコるとかそうするのが好きじゃないって知ってるだろ?」
「……私のデコったプリを持ってるのに?」
「なっ!!!!!……持ってないよ」
「机の引き出しからはみ出てたけど?」
え、嘘……。
「……でも俺、プリクラ撮ったことないよ?」
とりあえず俺は誤魔化す。
「だよね?前も何度も誘ったのに撮んなかったもんね。だから今日撮ろう!!!!」
「……」
俺はどうしても撮りたいと思えなかった。だって、俺がプリクラって……なんかキモくないか?それに恥ずかしいんだけど……。あんな目がキラキラするのが好きになれん。
ん?
柚葉とプリクラ……つまり、ツーショットってことか?
「柚葉」
「ん?」
「俺とそんな撮りたいのか?」
「撮りたい。記念として」
「……」
まぁ、そんな訳ないよな……。"好きな俺と一度は撮りたい"から誘ってると言うよりは、"撮ったことない俺と撮ってみたい"の方かな。
ーーー
「撮りたい。記念として」
私は何が何でも隼人とプリクラを撮りたい……。だって好きな人と撮れるのって絶対にいつも撮るのと違って緊張するだろうしさ……、それに……幸せなんだろうしさ……。
ま、まぁ……!?
お兄ちゃんとは撮ったことないしお母さん、お父さんともないけどね?家族は大好きだけどまた別だよ?
でも、異性の友達とは何度かあるのは事実。楽しかったけど…、これもなんか違う。やっぱ好きな異性と撮るのってどんな感覚なのか味わってみたい……!!!!
ーーー
「隼人」
「ん?」
「撮りたくないんだったら今日は無理には誘わないよ。でもいずれは一度は撮ろ?」
「……」
なんか今回はやたら抵抗感が強いんだよな……。
でも……、
「それじゃあさ……なんか恋人がやるポーズみたいなのはやめようね?」
「」
あ、やべ。何言ってんだ俺?
「こ、恋人じゃないんだから当然でしょ?」
柚葉が面食らった顔で答える…。
やべぇ……なんか、柚葉との距離感が最近おかしい気がする……。
ーーー
「恋人がやるポーズみたいなのはやめようね?」
は?え?……コイビト?コイビトって……あのコイビト?"恋"に"人"と書いての恋人?……、
はああぁぁぁぁ//////////////!!!!!!!?
「こ、恋人じゃないんだから当然でしょ?」
私は必死に冷静に答えた。でも……、何でそんな恋人だなんて……もしかして隼人も意識しているのかな?"柚葉が自分を好きかも"って……意識してるのかな?
ーーー
という訳で今、プリクラ機の前にいる。
「それじゃあ俺はなーんにも分からないから柚葉がポーズ決めて良いよ」
「最初からそのつもりだよーー(笑)」
「因みにさ?どんなポーズがあるの?」
「"見つめあってほっぺた持ち"とか"バックハグ"とか"おんぶ"とか…」
「マジで?そんなことすんの?」
「と言うのはカップルで撮るポーズね(笑)?」
「だから、そういうのはやらないって言ってるでしょ?」
俺は柚葉にジト目をぶつける。
「分かってるよー」
「でも、そんなポーズがあるってことを伝えただけー」
「」
柚葉は本当によく俺を揶揄ってくるな。
だから俺も偶には仕返しするんだけどさ(笑)?
「それじゃあ……あ」
「何?」
「これは別に普通なポーズなんだけどさ……」
数分後……、
「」
「いい顔いい顔ー」
カシャっ!!!
俺達は写真を撮った。
そのポーズは……、
俺が柚葉を"お姫様抱っこ"している写真だ。
「よーしよし!!撮れた撮れたー!!」
そう満足げに柚葉は写真を眺める。
「……柚葉」
「ん?」
「これ恋人用のポーズだよな?完全に」
「そうだよ?」
「え」
「恋人用な"だけ"で別に恋人じゃなくてもしていいんだよ?」
「」
「そもそも、恋人用を知らなかった隼人も悪い!!!」
「な!!!!?この後に及んでそんな開き直ったことを…!!!!!つーか俺のせいにしやがって!!」
「そもそもさ……指ハートとか顎触るとかは好きじゃないでしょ?」
「……そうだな」
「それで無難なのは2人で手を前に広げて、"幼馴染の2人!!!"とかって文字打ってデフォルメするのが良いとは思った訳だよ」
「それじゃあ何でそれをやんなかったの?」
「いやこれも撮るよ?」
「え……」
「けどさ……折角の隼人とだったから…最低限の密着で取れる写真にしたかった訳ね……」
「いやお姫様だっこは最大限だろ……」
「でも隼人がいやらしく触らない最小限のポーズじゃん?」
「……つまりはさ……俺にされても良いポーズって言いたい訳?」
「そっ!」
「あんな密着しといてか?」
正直、体の温もり、感触、香り、視界に入るもの……全てが色々とヤバかった。
「後は私がされたかったから!!!」
「……」
「隼人は私を持ち上げられるくらいの力があるからね♡?」
「」
いや、普通にキツい体勢ではあったけどな。重……とは言えないけどよ……。
「まぁ、あれは恋人と言うよりはプリンスがプリンセスを助けたりする時にやる……なんて言うか……映画とかでよくある……付き合ってなかったり、そういう関係じゃなくてもやって、人を魅了できるポーズってことね?だから、あれは恋人のポーズじゃない!!」
「」
理屈が過ぎる……。
俺はそう思った。
でもまぁ、思った以上に柚葉をお姫様だっこするのは悪くなかった…。重…とは言えないけど。
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