第17話 別離のあと


 茶楽雄が出ていったあとリビングへ向かうと、いよなだけがソファーにちょこんと座ってカフェオレを飲んでいた。


「莉音は?」


「帰ったよぉ」


「そうか……こっちも終わったが……」


 思った通り茶楽雄の馬鹿野郎は覚悟決めてたから、縁切りもあいつには想定内だっただろうが、莉音にそんな覚悟があったとは思えない。


「迷惑かけたな」


「うん大変だったよぉ、これは高くつくよ~?」


 だよなぁ、やっぱり相当ごねたんだろうな……しゃーないここは奮発して、


「学食4でお願いします」


「学食5だねぇ」


「4でお願いします。今月マジきついのよ……」


「学食6」


「増えた!?」


 ヤバいかなり強気の交渉してきやがる!そんなにしんどかったのか……


「5でもキツイ言ってんのに増やすか?」


「学食な「6ですね分かりました!」それでいいんだよぉ」


 圧力外交に屈してしまった……くそっ!今月の小遣いは終わった。

 



 萎んだ財布を想い悲嘆に暮れていると、


「りっちゃん、自分のやったこと理解してくれたけど、別れることに納得はしていなかったからまた来るかもねぇ」


「マジですか」


「そっから先はラーくんの仕事だよ?」


「茶楽雄に期待して来ないことを祈ろう」


「来ると思うなぁ」


 出来ればこれ以上の修羅場は勘弁して欲しいんだがな~。今日だけでゴリゴリ精神削られたんだよな……


「そん時はそん時の俺に任せよう……」


「逃げたねぇ」


 床に大の字になって大きなため息をひとつ、


「逃げたくもなるっつーの。何だかんだ言ってもショックだったんだぞ?」



 いよなが立ち上がってこちらに向かってくる、大の字で寝ている俺の頭の方に回り込む。ローアングルだからピンクのパンツ見えるぞ?言わないけど……


「大好きなりっちゃんを頑張ってフッたラーくんに、ご褒美あ・げ・る・ね♪」


 そのまま膝枕に移行させるいよなさん……あっ生脚太もも気持ちいい……って、おいおいどうしたよ?いよなさん?普段なら絶対にこんなことしないのにえらいサービスしてくれるな?ホントにご褒美じゃんか……いよなファンに知られたらエライコッチャ。


「いよなさん?」


「やん!くすぐったいから動かないで!」


「いやいや、気持ちいいんだもん」


「あん……動かないでってばぁ!エッチ!」


「失礼な!もっと高尚に格調高く助平と言え!」


「なに訳分かんないこと言ってんのぉ〜もう!うつ伏せにならないで〜」


 よしこの体勢なら表情見えないよな?


「俺……頑張ったよな?」


「ラーくん……」


「俺、筋通したよな?」


「うん……ラーくん頑張ったよ?だからご褒美あげてるんだよ?」


 惚れた女と親友をいっぺんに失ったけど、あれは赦しちゃいけないんだ。


「あの馬鹿野郎どもは……なんで裏切られたほうが気を使わないといけねぇんだよ?茶楽雄は覚悟ガン決まりだし、莉音はなんも考えてないし……」


「そうだねぇ、チャラくんらしいねぇ……りっちゃんは知らな〜い」


 おっと辛辣だな……よほどしんどかったのか。あっそうだ。


「いよな」


「なぁに?」


「別に俺に付き合う必要ないんだぞ?茶楽雄や莉音との付き合いやめることないからな」


 これは言っとかないとこいつ俺に付き合ってアイツラと絶縁しかねないからな。


「うんありがとね。でもしばらくはあたしもラーくんに付き合うよぉ。1人だと寂しいでしょ?」


「そうかい、まあどうするかはまかせるけど気は使わくて良いからな。あと寂しくねぇし!」


「あぁん……もごもご喋らないでぇ……くすぐったいからぁ」


 聞いちゃいねぇ。あとなんか艶めかしい声になってるからこれ以上踏み込んだらアカン。おもむろに立ち上がって伸びをしながら、


「さ……さあ、ひと仕事終わったし飯食い行かね?お礼に奢るぞ」


「ソ……ソダネー、ワーイイッパイタベルゾー」


 このあともすっげぇ気不味かった。




◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます!


そんなつもりは無かったのになんかピンク色の空気になってしまいました。

このムーヴに乗るべきなのか?


次回も読んでいただけると嬉しいです。


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