8話 アキナの配信者顔負けのダンジョン知識に疑問をもつレナ
変容してしまった生態系の迷宮に当初は混乱したアキナだったが、。散策をしていると、パーティーの友達たちとすごした懐かしい思い出が徐々に蘇り、だんだんと楽しくなってきた。
「うわー、こことか本当に懐かしい」
アキナの視線は、フロアの一角に設置されている見慣れたトラップに留まった。それは石畳の一部が突如沈む、シンプルな落とし穴トラップだ。途端に、彼女の記憶はあの日へと引き戻される。
勇敢に先陣を切って進むパーティーリーダーだった当時のアキナの彼氏。彼が落とし穴に落ちてしまい助けようとする剣士の男の子。落とし穴に落ちたのを見て大爆笑している魔法使いのエルフの女の子……。
「懐かしいっすか?」
レナの言葉でアキナは我に返る。
いけない、自分はダンジョンに興味はあるが来るのは、始めてという事になっていた。
「え? 私そんな事言ってた? き、聞き間違いじゃないかなあ……」
レナはアキナの言う事を全く信じていない様だ。
だが、向こうも嫌な思いをさせてまで聞く気は無いようで、話を変えてきた。
「もし良ければスマホで動画撮りますよ。記念にちょい編集して、後で送ります」
「本当! ありがとう。じゃあ配信者になったつもりで撮ってもらおうかな」
「分かりました。はーいもうまわってまあす!」
「きょ、今日はせ、【生態系の迷宮】の1階層をレポートしていきます……」
「生態系の迷宮って、なんっすか?」
「な、な、なんなのかしら?」
このダンジョンの名前は生態系の迷宮である。しかし、ここ以外のダンジョンの入り口は、こちらの世界には出現していない。なので、こちらの世界の人間は皆、生態系の迷宮という名称を知らず、単にダンジョンと口承していた。
「それに噛み噛みじゃないっすか。後、せっかくなんで配信者名も言っちゃいません?」
「そ、そうね、じゃあ……皆さんこんにちわ! なつめです! 今日は探索超初心者むけの、1階層をレポートしていきます♪」
◇
(うーん、さっきのよりマシかな? でもー)
アキナの歳を考えない若々しく痛いポーズを見て、レナは苦笑いが止まらなかった。
というか、今日のアキナはずっと変である。
(普段は若者のトレンドとか超疎いんだけどなあ)
にも関わらず、若年層でバズっているダンジョン動画の配信をしたいと相談してきたのだ。
そこで配信の現実を伝えたら、物凄くしょんぼりしていた。ご飯まで奢ってもらったのでなんか申し訳ない気持ちになって、ダンジョンに連れてきのだが、いざここに来たらダンジョン配信を専業にしているYawtuber顔負けの知識を沢山しゃべっているのだから、おどろきだ。
(なんでダンジョン配信にそんなハマってるのかな……)
気になったのでもっと深く聞いてみたかった。
だが、当人は明らかにそれを嫌がっているので深掘りできなくて、ひどくもやもやしている。
(確か娘いたよね? その娘が見てて、それ横で見てたら自分もはまっちゃったのかな?)
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