第23話 暗闇、そして光
暗闇が広がっている。
果てしない暗闇に俺は取り残されている。
一人でその暗闇の中にいるように。
孤独を感じる。
そこに光が手を差し伸べた。
「はっ!」
目が覚めたのはセカンテアの教会。
ステンドグラスが綺麗な光を床に映し出している。そんな神聖な教会の魔法陣が描かれたところに横たわっていたみたいだ。
死んだのか?
あの恐怖に打ち勝てなかった。
だから負けたんだ。
「クソッ!!」
握りしめた拳を床に叩きつける。
手がじんわりと痛みを伝えた。
悔しさが胸に込上げる。
みんなは?
そうだ。皆は一体どうしたんだ。
周りを見ると同じように驚いているガントとモー二、イブがいた。
「みんな!」
よかった。
一緒だった。
俺は直ぐに駆け寄った。
ガントと抱き合い。
モー二とイブとはグータッチする。
「ごめん。俺が調子に乗って先に進もうなんて言ったばっかりに、恐い思いをさせたな」
「ちょっと、フーマのせいではないでしょ。みんなで決めて言ったんじゃない!」
「フーマ。悪くない。みんな。悪い。」
モー二もイブも俺を庇ってくれた。
でも、俺からしたら申し訳ない気持ちでいっぱいなのだ。
あの時のあの恐怖に勝てなかった俺が許せない。悔しい。こんなに悔しいなんて。
「そうだぞ! 何を言ってんだ! 元はと言えば、俺が先走って先に行っちゃったからだろ!」
「それは、そうね」
モーニがガントの言葉を肯定する。
当然だと言わんばかりに胸を張って頷いている。
「扱いがヒドイ!」
「自業自得。でも。ちょっと。かわいそう。」
ガントが酷い言い草に嘆いているとイブが同情していた。いつも可哀想と言って優しいイブ。
だからモー二が意地悪かと言われればそうではない。ノリで弄ってるだけだからだ。
「いや、俺の攻撃は少しも通用していなかった。力も技術も足りなかったんだ·····」
胸に込み上げるこの思いをぶちまけたくて仕方がなかった。
それは皆も同じだ。
「オレも攻撃を捌ききれなかった」
「私にも何かできていれば。違ったかもしれないわね」
「私。何も。できなかった。未熟」
空気が重くなる。
四人で一緒に落ち込んでしまった。
あんな敵にどうやって立ち向かえっていうんだろうか。あれがレアボス。
やはりそれなりの強さがないと倒せないということなんだろうな。
「そもそもさ、あいつなんなんだ!?」
隣にいたガントが急に叫んだ。
俺たちは急に出された大声に驚き身体を震わせた。
得体の知れないアイツの事だろう。
俺たちを恐怖に陥れたアイツ。
アイツは……。
「視界が暗闇になる前に見えたんだ。あれはゴールドネームだった」
そう呟くと皆、目を見張って固まった。
「ゴールドネーム!? それって・・・レアボスじゃないか!」
「何て名前だったのよ? ネームを見たのよね?」
「えっと、たしかエルダーリッチ……」
モー二に聞かれ名前を呟く。すると、その時のことを思い出し恐怖が込み上げてきた。
あの時感じた恐怖は感じたことがないものだった。実際に生活していてあんなプレッシャーを受けることはないだろう。
「すごく恐い感じがしたわ。あれがプレッシャーなのかしら」
「そうかもしれない。すごい重圧だった。おれも恐怖に陥って、動き出すのが遅くなって満足に動けなかった。モーニ、イブも恐がらせてしまった。すげぇ悔しいよ」
悔しさを滲ませながら落ち込む。三人も黙ったままだ。
俺だけの問題でもないんだろう。
三人もあの恐怖に立ち向かえなくて悔しい思いをしていると思う。
しばらくの沈黙の後に、口を開いた。
「俺、もっと強くなりたいよ。スキルを強くするとかじゃない。自分の技術を、気持ちを強くしたいんだ。少し考えがあるんだ。それなんだけど……」
俺が考えていることを話すとみんな驚きながらも賛同してくれた。
テンカさんに会いに行こう。
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