第19話 装備完成!
あれから数日、クランのことや仲間のことを考えながら過ごしていたら、もう装備の受け取る日になっていた。
ログインした四人はフーマの装備を受け取りに向かう。
「「「「こんにちはー!」」」」
「おっ! 来たね! 待ってたよフーマ君。じゃあ、早速装備を持ってくるから待っててね」
しばらくすると奥から持って来てくれた。
「っこれは! 凄いですね!」
まず、グローブは拳から肘までを覆うのは、シルバーの鉄であった。拳部分は指の関節部毎に鉄が張ってあり、動きを阻害する事は無さそうである。
レガースも同じく足の甲から膝の下までをシルバーの鉄が覆う。
防具は胸と鳩尾の部分はシルバーの鉄で覆われていて、それ以外は革で出来ている。これも動きは阻害しないであろう作りとなっていた。
「フーマ、装備してみろよ! カッコイイじゃんか!」
その場で装備してみる。
うん。着心地もいいし、動きが阻害されない。これなら全力で動けそうだ。
「あら、いいじゃない。これでもう初心者って感じはしないわね」
「うん。いいかんじ」
精悍な見た目になったかな。これで熟練のプレイヤーを感じさせる風格となったんじゃないかな。
「いいじゃないか。似合っているね」
マサムネさんがしきりに褒めてくれるため、俺も気分が良くなってしまう。
「ありがとうございます! めちゃくちゃ動きやすいです! それでいて、守られている感じもするし、安心感があって凄くいい感じです」
俺の口も饒舌に装備品に関してのいい所を語ってしまった。作った人を目の前にして何を言ってるんだが。
作った方はそうすることを目的として作っているのだから、俺がいくら褒めたところで知っていると一蹴されるだろう。
「気に入ってもらえて良かったよ」
「この装備、早速試してきます!」
「あぁ。行ってらっしゃい」
意気揚々とお店を出たフーマと三人はフィールドに向かい歩いていく。
森を探索していると丁度いいところに、グリーンウルフを見つけた。
装備品の確認をするにはちょうどいい強さのモンスターだ。
丁度いい。アイツを倒してみよう。
そばに寄っていくと、グリーンウルフは気付き、こちらに身構えた。
匂いとかで気づかれたのかもしれない。静かに近づいて行ったのに何故バレたのか。
咄嗟に俺も構えてジリジリとにじり寄る。
『ウォォンッ!』
先に口火を切ったのはグリーンウルフだった俺に目掛けて牙を出して襲いかかってきた。
たしかにウルフ系は素早い。
けど、見えないほどじゃない。
テンカさんの突きに比べればなんてことはない。
右に避けながら中段突きを首筋に放った。
「フッ!」
ドスッ!
首筋にダメージを受けたグリーンウルフは倒れ、光の粒子に変わった。
「おおぅ。一撃か」
自分自身のパワーが確実に上がったことを実感した。装備のおかげもあるだろうけど、テンカさんとの手合わせがやっぱり経験としては一番なんじゃないかな。
「すげぇ! 攻撃力メッチャアップしたじゃん!」
これはこの先、大分楽になるぞぉ。
「もう一体ぐらい狩ってみていいか?」
俺がそう提案すると、みんな快く了承してくれた。
周りを探索すると、ここはグリーンウルフの縄張りが多がったのか。出会ったモンスターはほとんどがグリーンウルフだった。
どの個体も一撃で倒すことができた。
これはホントにパワーアップしたと思っていいだろう。
その他の個体もいたら良かったんだけど、贅沢は言うまい。
これでレベルが上がればガント達に追いつけると思うんだけど。
こればっかりはいっぱい狩りをしないと上がらないから仕方がない。
ガントが言うには、なるべく強い敵と当たって、倒すことができればレベルが上がりやすいらしい。
これをジャイアントキリングって言うんだとか。俺とは無縁の言葉だなと思ってしまった。
格上の相手を倒すなんてそんなに簡単なことじゃない。それは自分が一番知っている。こういう格闘技の世界ってのは甘くない。
研磨を積んで、そして、本番で力が発揮できて、きっと勝てるものなんだ。
勝負ごとってみんなそうだよな。
その勝負感みたいなものが、このゲームを通じと自分に備わってくれればいいなと思っている。
「皆は狩らなくてもいいのか?」
「この辺の敵はもうレベルが上がるような敵じゃないからな! フーマの装備の確認ができたら進んでもいいんじゃないかと思ってんだ!」
「なんかごめんな!」
確認だけのためにみんなの時間も取ってしまって悪かったな。咄嗟に謝る。
「いいっての! そういうのがみずくせぇってんだよ!」
「そうよ! 私たちは仲間でしょ?」
「そう……私たちは……仲間だから……いい」
優しいなぁ。俺に甘いだけなのかもしれないけど、その優しさに助けられてるよ。
装備も手に入れたし。
みんなの為にも自分のためにも戦うぞ。
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