(三)-2

「翔太なのか」

 拓弥の腹の底からなんとか出てきた言葉はそれだけであった。

「やっと会えたね」

 翔太の言葉に拓弥は何も言えないでいた。

「気づかなかった? あのヒロイン、実は僕が演じてたんだよ。なんかタヌキか幽霊にでも化かされたって顔だね」

 そして翔太は床すれすれまである裾の長いスカートの途中を右手と左手でそれぞれつかみ、スカートの左右を上に持ち上げて、少しひざを折る動作をした。

「どう、似合う?」

 それを見ると拓弥は、翔太の前まで歩いてきた。そしてスカートの前の裾を掴み、一気に上にひっぱり上げて中をみた。華奢きゃしゃな翔太の白い足が見えた。


(続く)

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