第2話 朝の儀式

「うぉ・・おぉ・・おおぉ・・・」

低い声が神殿に響く。


長い梯子を登った。

小さな祠が女王の神殿。


朝の祈祷の中で。

卑弥呼は全身全霊をこめて。


声を出す。


疾風(はやて)には。

幼い頃から大好きだった、鈴の音のような高い声ではなく。


低い。

とても低い。


厳かな。

神々しい声であった。


だけど。

男にとって。


かけがえのない。

素敵な、とても心地良い声だった。


そう。

あの時。


抱きしめた。

甘い温もりと同じように。


それが。

卑弥呼なのであった。


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