論功行賞と嫡男誕生
坂本龍司
義元さんと信玄さんが下がった広場ではそのまま論功行賞が行われた。平たく言うと戦国時代の表彰式だな。
「里見を落としたのと、朝比奈を討った滝川一並、甲斐の躑躅ヶ崎館と今川の駿河城と馬引城を落としたこと。どう考えても坂本家の功績が大きすぎるな」
「ここは坂本家に伊豆を任せてみてはいかがかな?開発も中途半端だし、伊豆にも大きな港を作れば貿易もしやすいじゃろうて」
やっぱ土地貰うことになるよね〜それにしても伊豆全域って広すぎない?大名クラスの石高なんですけど。
「うむ、龍司は土地をいらないと言うが、功績が多いのと大きすぎる。伊豆は龍司の好きにして構わんし、代官として伊豆を開発すると思えば良かろう」
代官って言うけど、そのまま領主にする気満々だろうな〜流されてる感じが否めないけど、逆らえる訳ないし。
「はっ、畏まりました。ただし禄として頂いていた500貫は取り下げてください」
「全く、欲のない奴じゃのう。欲が無いくせに功を出しおる、お主は儂らを困らせるのが好きなようだな」
家臣のみんなに笑われちゃった。それにしても伊豆か〜、どうせ城は立てないし、港町作って温泉も掘って・・・あれ、楽しくなってきた。
論功行賞を終えてダッシュで屋敷に戻ると、富士子の陣痛が始まっていた。手を洗い、急いで富士子の元へ行った。
家中の人も俺が慣例を無視することは分かっていたので、慌てることなく応対してくれた。
「富士子、今戻ったぞ。なんとか一緒に子供を迎えられる。頑張れ、隣にいるぞ」
「ふふ、そんなに息切らして。私の戦いももうすぐ終わるから」
「うん、ゆっくりでいいからね。俺は隣にいるから」
男って無力だな。一緒にいても手を握り応援することしか出来ない。
「おぎゃーー、おぎゃーーーー」
「おめでとうございます、男子です!」
「男子か、これで坂本家も安泰だな」
あぁ、涙が溢れる・・・俺と富士子から生まれた子。命は儚いな。大切に育てていこう。
「富士子、お疲れ様。ゆっくり休んでね」
「ええ、ありがとう」
「名前は大幸丸にする」
「大幸丸・・・いい名前ね」
「あぁ、この子には幸せをいっぱい感じて生きて欲しい」
そのあと富士子は安心したのかぐっすり眠った。俺は大幸丸をしばらく抱いていた。ほんと可愛い、世界一だ!自慢の息子だ!!
智にいい加減にしろみたいな目で見られたので、大幸丸を乳母に預けて仕事に戻った。
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