第15話 嘘か真か?

10年前(クロウス8歳頃)―――。


「おっ…お父さん…!!」

「これこれ、クロウス。私の事は“父上”と呼びなさない」

「す、すみません…父上」


クロウスが国王の間に行くと…またあの黒装束の男が居た。


「では…私はこれで失礼します」

「あぁ…ご苦労だった」


黒装束の者は、クロウスへ挨拶もせず…何事も無かったかの様に、部屋を去って行った―――。


「…父上、今の方は誰なのです?」

「お前が気にする事は無い」

「…………」


そうやって父はいつもあの男の事を隠してしまう……。


「それで…どうしたんだい?そんなに慌てて…?」

「あっ…は、はい!! サモンズ村が、攻撃されています!! 早く村の者達を助けないと!!」


サモンズ村…とは、魔法使いと召喚士が共存する、穏やかな村の事だった。


クロイア国とは親交があり、クロウスも何度か村を訪れた事があった。


……しかし―――。


ルファウスは、クロウスの肩を優しく叩いた。


「落ち着きなさない…もし攻撃しなければ 我が国は乗っ取られていたかも知れなかったのだよ…」

「えっ……?」


サモンズ村を攻撃したのは…僕たちの国!?


「だから先手を打ったのだ。分かってくれるね?」

「そ…そんなッ……!!」


あの村の者たちが…我が国を乗っ取ろうとしているだなんて―――クロウスにはとても考えられなかった。


何故ルファウスが村を攻撃させたのかは不明のまま……。


メディア等では「サモンズ村は、大きな災害に巻き込まれた」とだけ伝えられた……。


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