第24話 どこまで・・?
ぼくとミレイユは屋敷に帰って来ていた。
今、父親の元で仕事を手伝っている。
机が新たに増えて、父の隣で仕事をしていた。
「やっぱり、レイヤ様にそっくりですね。ツカサ様は。」
キャメロンさんが父に話しかける。
「まあ、私の息子だからな。」
ドヤ顔で言う父。
何だか恥ずかしい。
今まで気が付かなかったが、この人もぼくを結構好きらしい。
「思った以上に仕事をしてくれていたな。感謝するぞ。ツカサ。」
「どういたしまして・・。」
「随分素直になったものだな。変わったものだ・・・。」
「
ぼくは顔が赤くなる。
父が帰ってきたお陰で、以前よりは自由な時間を持てるようになった。
仕事が終わったので、階段を降りると・・。
「ミレイユ何してるの?」
「ツカサ、お母様に料理を教わっていたんだ。」
ミレイユは冒険者が長かったせいか、家事とかあまりしてこなかったそうだ。
貴族になったんだし、お料理なんてしなくて良いと思うけど。
「お菓子を作ってみたんだ。食べて食べて!」
見るとこんがり焼けた、四角い塊があった。
「ちょっと焼きすぎちゃったわね。」
これ、失敗って言わないか?
ニコニコしながら差し出された黒い塊を口に放り込んだ。
ちょっと苦い・・・。
まあ、食べられなくもないか。
「・・美味しいよ・・・。」
ぼくは苦笑いをしながら感想を述べる。
「・・・嘘つきだな。まあ、ありがと。」
ミレイユはぼくの頬にキスをした。
「今度はちゃんとしたの作るから。」
お手柔らかに頼みます。
平和な日常が戻ってきた。
****
昼下がり、ぼくはソファに座りうとうとしていた。
母が話しかけてきた。
「ねえ、二人はどのくらいまで進んでいるの?」
「何が?」
「・・キスくらいはしてるんでしょ?」
ぼくは目が急に覚めた。
「き、急に何を・・・。」
「・・だめねぇ。もっと好きってアピールしないと。結婚したって安心してるんでしょ。そんなんじゃ子供も・・・。」
「・・・ま、まだ早いよ・・・。」
「あら、そんな事ないわよ?ミレイユさんは20歳だったわよね?もっと積極的に行かないと・・・。」
ぼくは慌てて、ソファから飛び降りた。
考えても居なかった。
そういうものなのか?
もう夫婦になったからか?
寝室は別々の部屋だし、本当は一緒に寝るべきなのか?
「ん?どうした。神妙な顔つきをして。」
ぼくはミレイユのところへ行った。
だけど・・言えない。
「母が・・どこまでって・・いや、なんでもない。」
顔を真っ赤にして口ごもるが言えない。
「私は待ってるから、大丈夫だよ?」
ミレイユは言わなくても分かっていたみたいだった。
ぼく情けないな・・・。
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