復讐代行業
@momo_gabu
第一章 少女からの依頼
第1話 集められた少年少女
「イッタ!」
「その声は……
「
「「
「ちょっと、皆いるのね。ここはどこなのよ。どうして私達が集められているの?」
「「「
そこには三人の少年と一人の少女がパイプ椅子にロープで縛り着けられ、手足が動かせず両目もタオルの様な布で隠されている状態だ。
お互いの声だけで、仲間が揃っていることを確認し安堵すると同時にイヤな予感めいたモノがそれぞれの胸中に去来する。
「おい、誰かどうしてこうなっているのか知っているヤツはいないのか?」
「分からねぇ……気が付いたらこうなっていた」
「俺もだ」
「私も……」
椅子に座らせられているのはかろうじて分かるが、先程から素肌に直接風が当たる様子から、今は何も着せられていない
だが、分かるのはそこまでで、何故、ここに皆が集められているのか。何故、全裸なのかまでは分からない。
その内、ドアの開く音がしたことで少年達以外の誰かが、この場所に来たのが分かる。そして分かると同時に恐怖心が湧き上がる。
自分達を全裸にして縛り上げたのは彼ら少年達自身ではない。だから少年達ではない、その人物が少年達をこういう風にした人物であることは想像に難くない。
「……な、なあ。あんたなんだろ。なんとか言えよ!」
「そうよ、あなたが私達をここに連れて来たんでしょ! 何をしたいの!」
「頼むよ。家に帰してくれよ」
「俺も頼むよ。あんたのことは誰にも言わないから!」
「……」
少年達は口々に謎の人物に対しお願いするが、その人物は少年達の訴えに対し何も反応を示さない為、少年達には聞いているのかいないのか皆目見当が付かない。
だが、その人物が何かを用意している作業の音だけが聞こえてくる。
「なあ、あんた。俺達に何をするつもりなんだ! なあって! ウグッ!」
「「「昌也!」」」
『キュルル』
「ぐっ! てめえ! 何しやがる!」
「昌也、何されたんだ?」
『キュルル』
「あぐっ……てめえ、自分が何しているか分かっているのか?」
「「「昌也?」」」
さっきから、聞こえてくるのは結束バンドが締められる時に鳴るプラスチックが擦れる音だった。だが、それが何を縛り上げているのかは、されている昌也と呼ばれた少年だけしか分からない。
「痛い……」
他の少年二人も昌也と同じ様に二箇所を結束バンドで締め上げられ、昌也の悲鳴の意味が分かると同時に更に恐怖心が増していく。
「ちょっと、あんた達、どうしたのよ? 何をされているの?」
『ヴヴヴヴヴ……』
「え? 何? この音?」
玲美の耳元で突然、唸っていた音が段々と下の方へと移動していくのが分かり、玲美は今度は自分の番だというのを悟ってしまう。
やがて、玲美は自分の秘部にそれの先端が当てられているのが分かると途端に暴れ出すが、手足は縛られている為にどうすることも出来ない。
「止めてよ! どうして、こんなことするのよ! あ……」
「「「玲美?」」」
「な、なんでもないわよ……くっ……あんた、絶対に許さないから!」
「玲美?」
『ヴヴヴ……』
「「「?」」」
さっきは遠くで聞こえていた何かが振動する音が今度は少年達の耳元で聞こえてくる。
「な、なんだよ! 何をするつもりだよ! グァッ!」
「「昌也!」」
昌也は椅子ごと地面に倒され、仰向けにされた状態でいる。
「おい! 何をするつもりだ!」
『ヴヴヴ……』
「おい! 止めろよ! 頼む、止めてくれよ! あっ……」
昌也は自分の肛門に何かの先端が当てられたのが分かると、この人物が何をしようとしているのかが分かってしまった。そして、その人物に対し止めるように懇願するが、その人物は手に持っているモノを昌也に当てると、そのままグッと押し込む。
他の二人にも同じ様に処置した後で、玲美も仰向けに倒される。
「ねえ、ウソでしょ! 止めてよ! もう、十分じゃない! あっ……」
椅子に縛り着けられたままの状態で仰向けに寝転がされた少年少女は秘部にうねうねと動くモノが刺さった状態で放置されている。玲美に至っては二本も刺さっている。
「なんだよ! ここまでされることを俺達がしたって言うのかよ!」
「そうだよ! なんとか言えよ!」
「なんで……なんで……俺がこんな目に……」
「あんた、覚えてなさいよ! パパに言ってハガッ」
「「「玲美?」」」
少年少女が口々に文句を言っている途中で玲美の声が途切れた。そして、間を置かずに他の少年達も猿轡を噛まされる。
「フガ……」
やがて、シャッターらしき物が巻き上げられる音と同時にトラックと思われるエンジン音が少年少女達に近付いて来るのが分かる。
「「「……」」」
少年少女達はトラックの音がしたことで、自分達がここではないどこかへ移動させられることが分かる。分かるが、手足の自由を奪われた状態ではどうすることもで出来ず、そのままトラックの荷台らしきところへ放り込まれる。
やがて、車が止まり少年達はトラックから降ろされ何か作業する音がしていると思ったら、トラックが走り去る音がした。
少年少女達はここがどこかは分からないが、どこか屋外だということだけは全裸の体を撫でる風の様子からなんとなく分かった。
だが、分かっただけでどうすることも出来ず、仰向けに転がされたままの状態でやがて睡魔に負けてしまう。
『ザワザワ……』
「ん?」
少年少女達は周りの騒がしい音や話し声で自分達が衆人環視に晒されていることが分かるが、手足は縛られ、目は覆われたままで猿轡までされているので何も見えないし、何も言うことが出来ない。ただ、回りからは「ウソでしょ!」「恥ずか死ものだね」「どこの子だろ?」という囁く声と共に『カシャカシャ』とスマホのカメラのシャッター音だけが連続して聞こえてくる。
少年少女達は自分達が置かれている状況をなんとなく理解し、さっさとこの場を去りたいと思うが、体の自由を奪われている状態ではそれもままならない。やがて、パトカーのサイレンが近付いて来ると、車が止まると同時にドアが開かれる音がして野次馬をどかせる警官の怒鳴り声が聞こえてきたので少年少女達は安堵するが、警官の発した「ウソだろ。むごいな」と言う言葉に耳を塞ぎたくなる。
「ほら、散った散った!」
少年少女達には毛布が掛けられ、その場では目隠しを外さなかったのは警官のせめてもの情けというものだろう。
毛布に包まれ椅子に縛り着けられたままの状態で警察車両に乗せられると、先ずは目隠しと猿轡が外される。そして、それと同時に少年達は騒ぎ出す。
「ここは、どこなんだ?」
「俺達をこんな目に合わせたのは誰だよ!」
「俺達はどうなるの?」
「私のパパは?」
「落ち着いて。先ずここだけど、ここは埼玉の「「「埼玉!」」」……ああ、埼玉の山奥だ」
「なんで?」
「先ずは病院に連れて行くから、落ち着いて」
「……なあ、コレは?」
「今は外せない」
「なんでだよ! 見ろよ! こんなに変色しているんだぞ!」
「だからだよ」
「はぁ?」
「そんなにうっ血している状態で血流を再開させると血栓が流れ出す可能性がある。だから、ここで外すと脳溢血を起こす可能性があるから、処置出来ない」
「……じゃあ、これは?」
「それも接着剤が使われているから、無理だ。それと、証拠写真を撮らせてもらうから」
「「「はぁ?」」」
少年達は自分達を保護してくれた警官に詰め寄るが、警官もここで下手に処置する訳にはいかないと説明し、なんとか宥めようとするが少年達には無理だった。
やっと助かったと思ったのに、下手に処置すれば命に関わると言われてしまえば、言う通りにするしかないのだ。しかも秘部に刺さった物を取り出すことも出来ないので、このままの状態で搬送されることになる。
「なんで、俺達が……」
「そのことなんだけど、何か思い当たることはないのかな」
「分からねえよ!」
「そうかい? これだけのことをされるんだから、余程の怨みを買っていると思うけどね。それも君達四人に関係することなら、容易に想像が着くんじゃないのかな」
「「「あ!」」」
「あるんだね。じゃあ、それはあとでゆっくり聞かせて貰うよ。犯人逮捕の為だからご協力お願いしますよ」
「「「……」」」
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