あかりちゃん!君、付き合ってる男の子いるの?
7話。あかりちゃん!君、付き合ってる男の子いるの?
レンは長い間話すことができなかった。 アカリはレンが話すまで唇を閉じて待ってくれた。 今は何か言わなければならなかった。
「言いたかったことは、だから…···君と···もっと親しくなりたかったんだ。」
あかりは緊張していたが、軽く笑いながら答えた。
「それだったの? 私に言いたいことって? そのためにわざとタイムスリップして私に会いに来たの?」
「あ、それから…···…」
れんの言葉にあかりちゃんはまたれんと目を合わせながられんを見つめた。 レンは話そうとしたがままためらった。
付き合いたかったという言葉、好きだったという話をしなければならないのに、そんな告白をこんなバス停とかでしたくはないという気がした。 あかりが待っていて口を開いた。
「もっと言いたいことがあれば言ってみろ。」
「それが何かというと…···あなた、付き合ってる男の子いるの?」
「それを聞こうとしたの?。」
「まあ、ただ気になって…···…。」
「私と付き合いたい男の子はいるよ。」
「誰?」
「君はたぶん知らないだろう。同じ部で活動している学生なのに、隣のクラスの男の子だよ。」
「それでその男の子と話したことある?。」
「休み時間に声をかけて何度か話したことはある。 私に会おうと言ったのに忙しいと言い訳をしたの。」
レンはあかりの話を聞くと訳もなく腹が立った。 「忙しいと言い訳をするのではなく、切って嫌だと言うべきだった」という気がしたが、レンはアカリにそんなことを言える資格がない人だった。 アカリとはただ名前と顔だけ知っている間柄だったから。
「もしかして君を苦しめたり面倒をかけたりしたんじゃないよね?」
レンはどう言おうかと思って,そう聞いた。
「まあ、ちょっと面倒なら面倒かもしれないけど、いじめたほどではないよ。 ところで…。」
「ところで何?」
「結構かっこいい。」
その男の子がかなりかっこいいというアカリの言葉にレンは突然神経を尖らせていた。 アカリが言い続けた。
「それくらいなら他の女の子たちも喜ぶと思うけど、どうして私に何度も話しかけるのか分からない。 私の携帯番号を教えてほしいと言ったのに教えてくれなかった。 教えてくれれば会おうと言いそうなので。」
レンは危うく「よくやった!」と言いそうになったが、心の中だけでそう言って安堵した。 携帯電話番号を教えてくれと言ったが断ったという話は少なくともアカリがあいつに気があるわけではないという意味なのである程度安心した。
レンがしばらく何も言っていないので、アカリが尋ねた。
「もう私に言いたいことは全部したの?」
「そうだね。ところで…···…。」
「何で?」
「本当に申し訳ないんだから。」
「何が?」
「君の携帯番号教えてくれない? また聞きたいことがあったんですが、急に思い出せなくなったりして…···…。」
「すまないと言うまでもないんだけど?」
「え?」
「携帯貸して。」
レンは携帯電話をくれという言葉に驚きながらも、アカリに早く携帯電話を差し出した。 アカリが自分の携帯電話番号を保存すると、レンは心の中で喜びを隠すことができず、嬉しい表情を隠そうと努力した。
あかりはれんに携帯電話を渡しながら言った。
「聞きたいことがあれば、そちらに連絡して。 どうせ課外授業もしないからそんなに忙しくもないからね。」
「一人で勉強しながら大学入試の準備してるの?」
「大学進学は準備していない。」
「あ、そうなの。」
「君は大学卒業後にプロ野球スカウトになったんだよね?」
「そうだよ。」
「私は今度バスが来たらそれに乗って行くよ。」
「うん、そうだよ。 時間を割いてくれてありがとう。」
レンはアカリとバス停の椅子に並んで座ったままアカリが乗って行くバスが来るのを待った。 心の中ではあかりが乗るバスが少しでも遅く来ることを願った。あかりはバスの到着時刻を確認し、れんに言った。
「3分後に到着だよ。」
「もうすぐ来るだろうね。 今日は楽しかったよ。 10年前に部活動を一緒にしながらも、このように話したことはなかったから。」
「そうだね。でも、10年前って言うから実感がわかない。 私にとっては10年前ではなく、現在の時間だから。」
「そうだろうね? 君にはね。」
「でも、君の言ったことを信じるよ。 いや、今君の姿を見ていると信じないわけにもいかない。」
それはそうだった。 レンは高校卒業を控えた少年ではなく、28歳の男性の姿で現れたからだ。
あかりが乗って行くバスが近づくと、あかりは立ち上がりながら言った。
「行くよ。」
レンも立ち上がりながら言った。
「さようなら。」
あかりはバスに乗り込み、れんはあかりの顔をもう一度でも見たくて席を離れずにバスを眺めていた。 アカリは車窓の外でレンが自分を眺めている姿を見て手を振った。 レンはうれしくて自分も手を振った。
アカリが乗ったバスが去った後、レンは携帯電話を見ながらアカリの電話番号を確認した。 何か大きなものを得たような気分だった。
-あかりの携帯番号がわかった。 あかりが私に携帯番号を教えてくれた。
レンは静かに笑いながら携帯電話から目を覚ました。 通りかかったある年配の男がレンと目が合うと、狂ったやつを全部見るかのようにちらっと見て通り過ぎてしまった。
レンは軽い気持ちで家に帰った。 レンが住んでいる原宿駅周辺は10年の歳月を感じるように街を通っていると、最近は見られなかった飲食店やカフェが多かった。 数多くのお客さんが行き来する店の中で、10年間で消えた飲食店やカフェが本当に多い気がした。
翌日は何もしないで家で休んでいた。 タイムスリップしながら幸いなことは、父親に相続された遺産はそのまま持って10年前に来たという点だった。 しかも一人で暮らすのに十分な大きさの家まであるので、経済的には心配することはなかった。
あかりから電話番号をもらって3日が過ぎた後だった。 携帯電話の画面に電話がかかっていた。 レンは知らない電話番号なので、出ようかどうか迷って電話に出た。
「もしもし。」
「君、レンなの?」
電話をかけた男はいきなりタメ口で話した。
「どなたですか?」
「え?どなたですか? お前、話し方も声もそうだし、どうしてそんなにおじさんみたいなんだ? あなたの担任の先生の声も分からないの?」
「え?」
「どうして最近ずっと学校に来ないの? お母さんも電話に出なかったけど、家の中に何があったの?」
「そういうことではないんです。」
レンはとても困惑していて,どう答えたらいいか思いつかなかった。
「大したことないということだよね?」
「はい、大丈夫です。」
「では、週末を楽しく過ごして、来週からは必ず学校に来なさい。 気になることは多いけど、学校に来て話そう。」
担任はそう言ってから電話を切った。 レンは電話を切った後、突然疑問に思った。
-考えてみたら私の携帯番号が10年前と違うはずなのに、どうやって知って電話したの?
ちょうどレンは職場生活をしながら2台の携帯電話を使い続けてきたので、もう1台の携帯電話があった。 レンは先ほど担任の電話に出た携帯電話を持ってもう一台の携帯電話に電話してみた。
「あっ!」
ところで、画面に出ている電話番号は今レンが使っている電話番号ではなかった。
「この番号は?」
画面に出ている電話番号は考えてみたら、10年前に高校時代に使っていた電話番号だった。
「じゃあ、私がタイムスリップしながら 携帯番号も10年前のものに変わったということ?」
そう考えるしかなかった。 だから担任の電話に出ることになったのだろう。 ところで来週から学校に出ろと言ったが、どうすればいいか悩んだ。 28歳の体で学校に出ることもできないし、学校に出なければまた連絡が来るからだ。
レンは週末をじっくり考えた後、月曜日に担任を学校に訪ねることにした。 そして自分がレンの従兄だと言いながらレンが学校に通えなくなったと言うつもりだった。
月曜日になると、レンはスーツ姿で家を出た後、学校に向かった。 学校に到着した時はちょうど休み時間なのか生徒たちが忙しく行き来していた。
-教務室はどこだっけ?
記憶をたどっていると、突然後ろから誰かがレンの後頭部をポンと叩いた。 びっくりして振り向くと、ある男の子がレンに言った。
「やあ、久しぶりだね。」
レンはどういうわけか分からずに男の子をじっと見つめた。
「最近何かあったの? なんで学校に来なかったの?」
「あ、それが…···…。」
「ところでどうしてスーツ姿で学校に来たの?」
「あ、これは…···…。」
レンはぐずぐずし続けた。
「今どこに行くの?」
「教務室。」
「あ、確かに久しぶりに学校に来たから担任の先生に先に行ってみないと。 じゃ、後で会おう。」
その男子生徒はそう言って振り向いた。
「ちょっと待って。」
レンが呼ぶと、男子生徒は「どうしたの?」とレンの顔を見ながらレンが言うのを待った。
「トイレはどこだっけ?」
「その間にトイレも忘れたのか? あそこにいるじゃん?。」
男子生徒が指すところを見るとトイレがあった。
「あ、そうだね。」
男子生徒は再び後ろ向きになって消えた。 レンはすぐにトイレに入った。 そして、トイレに入るや否や鏡の前に立った。 レンは鏡に映った自分の姿を見て驚いた。
「え?まさかの?」
鏡の中には10年前のレン。 高校3年生の時のレンが驚いた表情で凍りついたように立っていた。
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