探偵たちに未来はない 2

探偵とホットケーキ

第1話

真夜中のハイウエイを走り抜ける一台のアストンマーティン。運転手である黒髪の探偵一人と、今宵の相棒であるところの、アルバイトの十七歳の少年が乗っている。その後ろから別の車が何台か、チーターのようにすっ飛んで、追いかけていく。

 俺たちはもう死ぬかもしれない。探偵はハンドルを切りながら言った。そして、忘れるな、もしも生き残ったその時は、今夜の恨みを必ず晴らすのだということを。そう付け加えると同時に、地面を引っ掻く音がし、ドアは吹っ飛び、二つの体は、外に投げ出された。

 人の体というものはアーチを描きながら飛んで、地面に叩きつけられると、七十度くらい右に首が曲がって、動かなくなるんだなぁと、其処にいた誰もが、感心したに違いない。

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