11:俺は手を伸ばした

 空と一緒になって走った。 

 そう。空と一緒に。


 だからこそ分かるんだ。


 空が俺の為に一生懸命になってくれてるのは見てたら分かるんだ。

 だからこそ空もこうして一緒に走ってくれてるんだろうしさ。


 ――でも。


 どれくらい走ったんだろうか。


 俺の前を空が走ってる。

 俺のことを導くように。


 そしてそんな空が時々、振り返る。


 俺がちゃんといるかどうか確認するのに。


 ――ほら、また振り向いた。


 でも、ごめんな。


 俺、もう駄目みたいだ。


 空が遠くなってくよ。 


 立ち止まって、


 俺は手を伸ばした。


 高い高い、そして遠い空へと。


 俺の手は空には届かないけれど、

 本当に触れたい空には届かないけれど、


 だけど、ありがとう、空。


 俺に気付いてくれて、ありがとう。


 俺に生きたいって、

 思わせてくれてありがとう。

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