第8話
お父様が謎の腹痛を発症してから、数日が経ちました。
お父様はあれから激しい腹痛に苛まれ、日々に執務を行うことも難しくなってきておりました。
腹痛のせいで、満足に睡眠をとることもできないそうです。
もっともお父様がまともに執務を行ってるところ見たことはありませんでしたが……
あら?じゃあ何も問題ないわね。
勿論妹の『傷を治す魔法』や、他の治癒師と呼ばれる『治す魔法』を持つ人を頼ったそうですが、上手くいかなかったそうです。
妹の『傷を治す魔法』の方は全く効かなかったそうです。
傷なんてどこにもできてないから当然なんですけどね……
他の治癒師たちの魔法でも、一時的に痛みをとることはできるみたいですが、すぐに再発するのだとか。
根本的な原因が分かってないから魔法の効きが良くないんですね、きっと……
そういえば私魔法は解除したけど、石そのものは除去したっけ?
……まあ、どっちでもいいわね
お父様としばらく顔を合わせなくてよさそうね……と安心出来たらよかったんですけどね。
「ふん! いい気味だわ! 愛人に毒でも盛られたんでしょ。きっと」
屋敷の中でも、「いかにも高級です」を主張するギラギラした品のないドレスを身にまとい、手にはゴテゴテとして指輪が両手の指すべてに着けられている女性。
そうです、私のお母様です。
お母様はいつも新しい宝石やドレスを買うと、こうして私に見せびらかしてきます。
見栄っ張りで散在することがやめられないのです。
領地の収入はお母様と妹の浪費、お父様の酒とギャンブル代でほとんど消えています。
「……それで、私の部屋に一体何の御用でしょうか?」
「『出来損ない』の貴方にいつもの施しよ」
と言うとお母様の専属侍女が宝石箱の蓋を開けて、中身を私の部屋にぶちまけていった。
「『出来損ない』の貴方に、ふさわしい宝石よ。感謝しなさい」
床に散らばっている指輪などの宝石は、そのどれもが輝きを失って色あせた状態になってしまっている。
私に与えられる宝石類の殆どは、こうして母が『施し』と称して捨てていくものです。
私の部屋をゴミ箱かなんかと勘違いしているのでしょう。この人は。
まあ、お母様にとって私はゴミ同然なんでしょうね。
お母様から愛情を注いでもらった記憶は、魔法が判明して以降はありませんでした。
最も、お母様が捨てた宝石たちは、今後の貴重な収入源になるのでありがたく利用させていただきますが……
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