アレルギー×温泉!-別館ダマリャーノ-
沖ノキリ
呪われた二年四組。そのいち
我の名はダマリャーノ。
ちょっとばかり、むちっとしたボディがキュートな
きっと、その方がみな幸せになれる。猫ねこびーっむ!
よし、半数ぐらいが呆れて去ってしまったところで、まずは登場するアレルギー持ちを紹介しよう。
●エントリーNo.01 ダマリャーノ。
アワビ、卵(完全加熱可)、ハウスダスト、生っぽい椎茸、動物各種。
●エントリーNo.02 万能AIロボの
イクラ、サケ、動物各種。強烈な花粉症。
●エントリーNo.03 そのうち登場予定(雑)
……我言った、考えない方が幸せになれると。
さて、賢明なる読者の諸兄姉がどこから突っ込んだものか考えあぐねている隙に、『呪われた二年四組』の話を始めよう。
あれは割ときれいさっぱり忘れていた高校時代のこと。
我が卒業した、校則の厳しさと立地の標高だけが特徴の公立高校には、『冬季訓練合宿』なるものがあった。ただのスキー合宿なのだが、これは遊びではないという無駄に強固な意志が見て取れる。
今は寒さが大嫌いな我だが、残念ながら当時も大嫌いだった。しかし、公式行事となれば、さぼる訳にもいかない。長い道中を延々とバスに揺られ、ようやく宿泊地についた。
我ら四組に割り当てられた宿は、他の宿から離れてぽつんと立っていた。知らなければ通り過ぎてしまうであろう雪に半ば埋もれたその宿は、どこからどうみても完全に寂れていた。
まず、玄関扉を開けるのにも、ちょっとしたコツがいる。少し持ち上げないと引っかかって開かないのだ。
階段を踏めば盛大に軋んだ音が鳴り、全体的に薄暗く、倒れた水筒がころころと部屋の端まで転がっていった。
物理的に傾いとるがな!
しかし、所詮は訓練合宿だ。こんなものかと皆、受け入れた。文句をいって埒があいたためしがないのである、この学校。
部屋は「舞子さんちのまかないさん」に出てくる彼女たちが住む屋形、あれから清潔感と風情を取っ払ったものを想像してもらえればいい。
部屋の両端に寝棚があり、その間にわずかなくつろぎスペース?の四人部屋だ。
当然トイレは各階にあるのみ。行動時間がぎっちり決められているため、朝など混雑で地獄だった。風呂もしっかり温まるどころではない。狭い風呂に班ごとに入り、高速で洗ってダッシュで入れ替わりだ。これは遊びではない、訓練である。
と、若い我らはそれなりに順応していた。
しかし、合宿三日目。
それまでクラス単位、班単位行動が義務付けられていた為、知ることがなかった残酷な真実を、少々鈍い四組一同もついに知ることとなる。
偶然、宿に戻る道で出会った他クラスの人間が、不思議そうに聞いてきたのだ。
「お前ら見ないけど、どこに泊まってんの? 俺ら、あそこ」
彼の指さす先には、雪景にまばゆく光輝くばかりにそびえたつホテル。
しかも、スキー場から近い。超近い。
なんと他のクラスは全て、近くて便利な近代的ホテルにに泊まっていたのだ。各部屋にトイレフロ。もちろん電源もあり充電し放題、売店まであるという。
なお、うちの宿にも電源は辛うじてあったが、使用を禁止されていた。ブレーカー落ちるんだってよ……。
自分たちだけが昭和の遺構が如き、鄙びすぎた宿に押し込まれていたと知った生徒たちは当然激怒した。必ず、かような不公平をたださねばならぬと決意した。でも、明日帰る。
押しかけられた担任教師は、疲れたようすで語った。
「泊まる予定だった宿が、俺らが来る直前に食中毒を出して、営業停止になったんだ」
はよ、いえやす。
スキーのオンシーズンに急遽、五十人を受け入れられる宿だ。繁盛具合は推して知るべし。
やむを得ない事情とはいえ、同じ旅行代金で大きな待遇の差が出てしまった以上、せめて説明は必要だったと思うのだが、帰校後もそのまま無言放置であった。
全員一度、民間で社会人やってこい。
と大人になってから思った我である。しかも、この合宿以後アレルギーを発症し、慢性的な皮膚のかゆみに悩まされるようになった。踏んだり蹴ったりとはまさにこのこと。
宿ボロすぎて、隙間風に震えている十七の春~♪
そして、二年四組の受難はまだまだ続く。あ、にゃー。
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