第14話

「出樫さん ??」


 メールの、リンクにさわるか1週間悩んでるけど結論が出ないの。

 知らない方が、しあわせってこともあるしなぁ。


『班長でイイよ』


 この人は、マイペースだなぁ。

 部屋の真ん中に、ポツンと置かれたイスに腰掛けているあたし。

 唯一、あるガラス窓の向こうのモニタリングルームでにこやかに笑う出樫と、となりにもう1人いる。


「出樫班長 今日もインストールですか ??」


 ずっと、インストールしてはフライトシミュレーションで飛行テストの繰り返しであきてきちゃったわね。


『ああ 早くF15の操縦桿を握って国境を守ってもらわないと』


 それは、聞きあきたわ。


「班長 大丈夫でしょうか」


 出樫の、横にいる若者がクチを開く。


「なにがだ」


 少々、うるさそうに男の顔を見る出樫。


「だって 一度 反乱したアンド口イドですよ」


 小声に、なっているけどバッチリ聞こえているわよ。


「大丈夫

ちゃんとフォーマットしてあるから」


 ジェスチャーしながら、なだめる出樫。


「でも」


 食い下がる若者。


「他の連中と同じ生活にしとけば暴走するような事態にはならないよ

冷却ジェルの漏れも修理したし」


 他の、アンド口イドたちは正常に動作しているみたいね。


「そうですか………」


 視線を、下に落とす男。


「全部 聞こえちゃってるんだよ」


 小声で、愚痴を言ってみるがこっちを全然見ていないね。


「よし 過去の自分をダウンロードしよう」


 自分の身に、なにが起きたのか確認する気にやっとなれたような気がする。

 メールの、リンクをクリックすると巨大なサーバの稼働するイメージが流れ込み次々と情報の波が押し寄せる。


「あっ

あぁぁああぁああ」

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