第1話
「なんでさー
リポートが 手書きなのよ?
プリンターで 出力させてよ
出樫さん」
今時、わけがわからないよ。
口ボットが、手書きとか。
ちなみに、でがしさんは機体整備課の班長。
「リポートじゃあなくて 始末書な」
ブリーフィングルームに、2人きり。
まぁ、単に呼び出しをくらっただけなんだけどね~。
「あー
そうでした」
ことの顛末は、外国の所属不明機が領空侵犯しそうだから、スクランブルって緊急出動したんだけどなんだか、リーダーと仲が悪くなってるせいか、まじめに隣を飛ぶ気がしなくって、
「今じゃあ 貴重な F15を 破損させたん
だからさ」
なんだか、かなりイラついている出樫班長。
「ん でも
破損って言っても 片翼が モゲた
だけですよね ?」
ちゃんと、空港まで機体を持って帰ったんだから、むしろ感謝して欲しいんだけど。
「いや 普通は パラシュートで
脱出する事態の案件だぞ
わかっているのか ??」
どうも、このパイナップル頭ピリピリしてる。
「そんなの
パラシュートどころか
普段着で 乗ってるんですから
わかるわけないでしょーが」
リニア機能で、空を飛べるからパラシュートは、いらないってさ。
ついでに、Gスーツは全く必要ないけど。
「ぐぬぬ
ちゃんと 真っ直ぐ飛ばしていれば
モゲないの !!」
ブチ切れちゃったよ。
この人、普段から怒りすぎ。
「したらば
真っ直ぐ飛ばしてましたよ
キリモミ回転は してましたが」
リーダーが、浮気なんてするからつい意地になって、操縦桿を左に目一杯倒してグルグル飛んでたらバキッって、音がしてちょっと、焦った。
「あのなぁ
F15は 人間用に作ってあるの!
無駄に回転運動とか やらないでよォ」
そんなに、声をひっくり返して言わなくて、大丈夫だよ。
わかってやってんだよね。
「えーっ
それくらい 想定内でしょー」
まぁ、新品なら限界を越えたマージンもあるけど、もうスクラップ間近な飛行機だし。
「まったく
なにがあったか知らないが
反抗的な態度を とるなぁ
フォーマッ・・・」
きたきた、待ってました。
「・・・なんて言いました ??」
思わず、顔がニヤケてしまうわ。
「いや なんも言ってねぇ」
人なら、人権にかかわるけどこっちは、リセットして欲しいわ。
「してください フォーマット」
出樫班長の手を、握って訴える。
「おい 冗談だって
どうしちまったん………」
ワザと、出樫に抱きつく。
「………アイツと
うまくいってないんだな」
そう、リーダーとはうまくいってない。
「今度 みんなで 飲み会でもやろう」
無理やり、あたしを引き剥がして小さく咳をする出樫。
この人じゃあ、不倫相手にはなりそうにない。
あてつけで、やろうと思ったのに。
「………はい」
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