第8話 僕が出て行くよ

「えっ・・・?」

圭ちゃんが聞きました。


「僕が悪いんだ、君は・・・

圭ちゃんは・・そのまま・・家にいておくれ・・・」


「だって、勇祐・・・?」


涙で滲む圭子は両手をギュッとしながら、声を張り上げた。


でも、嬉しかった。

勇祐が・・・。


圭ちゃんと。

呼んでくれた。


数ヶ月の同居だったけど。

喧嘩ばかりの時間だったけど。


勇祐は。

私の、勇祐で。


いて、くれたのです。


圭子の口元が。

フッと。


綻んだのは。

勇祐の、目の錯覚だったのでしょうか。

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