(3)

「ねえ……そっちの割当は何件?」

 ギルド本部内の食堂で、僕達のパーティーと同じく「マズい仕事を積極的に引き受ける」事でランキング上位進出を狙っているパーティーのリーダー「光の剣士」シャロルが、そう話し掛けてきた。

 赤と白のビキニアーマーに、オレンジ色に近い茶髪のポニーテール。魔法により、何歳になってもロリ体型・ロリ顔のままの……女の子……と言っても年齢は二〇よりは上、二五よりは下ぐらいらしいけど……。

「一五」

「あたしのとこは一六……一週間以内にね……」

「ウチも一週間以内」

「一日に……2人以上か……」

「しかも、毎日、ノルマ報告しろってさ……」

「あの〜……ちょっと思い付いたんですけど……」

 シャロルのパーティー……そう言や、何で、全員が女の子のパーティーが、こんなマズい裏仕事を積極的に引き受けてんだろ?……の魔法使いのジュリアが、そう言った。

「報酬から経費を天引きされますけど……ギルドの情報部門に調査依頼をしたら良いんじゃないですか?」

「何を?」

「期限内に殺害対象ターゲットの何人かが、どこかで集ったりする予定が無いかって」

「へっ?」

「例えば、この商工会の幹部さんは……こっちのお坊さんの信者で……」

 ジュリアは自分のチームの割当リストの名前を指差しながら説明する。

「ちょっと待って……それって、下手したら白昼堂々、町中でテロ起こ……」

 ……。

 …………。

 ……………………。

「うん、いい考えだね。そうでもしないとノルマ達成は無理だ。そう思わない?」

 僕は、ローアとシュネの方を見て、そう言った。

「そうだね」

「うん」

「あ……そう言えば、何でシュタールは来てないの?」

 僕が、そう訊いた瞬間、ローアとシュネが「あっ……」と云う感じの表情かおになり……。

 ……。

 …………。

 ……………………。

 ん? あれ? 僕は、今、ローアとシュネに何を訊こうとしてたんだっけ?

「リーダー、シュタール、とうとう壊れて、代りの手配にも時間がかかりそうだって。当分は、あたし達だけでやるしかないみたい」

「え……急に、そんな事を言われても……」

「でも、前々から酒の飲み過ぎで肝臓がエラい事になってたでしょ」

「あ……ああ、そう言えば、そうだったね」

 食事も食べ終ったんで、ボクは椅子から立ち上がり……あれ? 僕、いつから新しい「聖剣」を使うようになったんだっけ?

 気付いたら、僕の腰に有るのは、僕が駆け出しの事に見付けた「聖剣」じゃなくて、サムライ用のカタナ風の曲刀だった。

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