第28話母が歌っている
こんにちは、仲津です。
現在、老健施設にお世話になっている実母とは、コロナ禍の影響で面会が中止になってからもう3年、顔をみていません。
マスクは解禁になったものの、まだ油断できませんからしかたないとは思いますが、どうしているのかなと心配もしています。
幸い母の性格は施設に合っていたようで、おしゃべりするお友達もできて、楽しそうにしていましたし、時々送っていただく笑顔の写真をみて、穏やかに過ごしているのだろうと想像しています。
母は若い頃から、いわゆる「音痴」で、歌うと音が外れてしまいました。
そのため、ご近所の集まりなどでカラオケがあっても、決して人前では歌おうとしませんでした。
それではいけないと、私には子供の頃からレコードで童謡を聴かせ、音楽教室に通わせてくれていたくらいです。
コロナ禍前の話になりますが、施設へ面会に行くと、その母が無邪気に歌を歌っていたのです。上手とはいえないけれど、音が外れるわけでもなく、普通に歌えているのです。
驚きました。
昔は歌が下手だと思い込んでいて、頑なに歌うのを拒否していたのかもしれないと思います。
認知症になったことは残念ではありますが、母はある意味、解放されたのではないかと感じました。
母が認知症になって、私自身だいぶ悩んだりしたこともありましたけれど、離れてみてようやく、子供に帰ったような母を冷静な目で見られるようになったのかもしれないと思います。
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