第78話 感情
「よし、それじゃあ戻るか」
俺は気絶している敵をそのままにして、飛行スキルを発動させる。
来た道を戻り、生き残りがいる場所へ歩く。
「意外にしぶといな。」
「っ!?」
俺がそう言うと目の前にいたスキンヘッド男はびっくりしながら体を震わせる。
スキンヘッドの男は振り返り俺を見てくる。
「貴様は一体何者だ!?」
「ただの旅人だけど、あんたは?」
俺がそう聞くと、スキンヘッドの男は頭から血を流しながら立ち上がる。
「私の名はターマスティ!カロン王国の騎士団長だ!貴様がこれを引き起こした犯人だな!?」
「犯人って…お前らが戦争を仕掛けてきたんだろ?防衛するのは当たり前だろ?頭大丈夫か?いや…頭は大丈夫じゃなさそうだな…」
こいつ頭から血が出てるからな、大丈夫ではないよな。
「貴様!!」
「まぁそんなことよりお前、カロン王国国王と面識はあるか?」
「あ、ああ。私は陛下の側近だが…それがどうした!?」
こいつは何かと使えるかもしれないな。
「そうか…それじゃあそのゴミはどこにいるか知っているか?」
「ゴミ?貴様まさか陛下のことではないだろうな?」
おい、怒り出しそうだぞこいつ。立場わかってんのかな。
「いや、そうだが…」
「貴様!!陛下のことを侮辱するな!!」
ターマスティはそう言いながら俺に斬りかかってくる。
俺はそれを右手で止め剣をへし折る。
「おいお前自分の立場わかってるのか?」
俺は威圧しながらそう言う。
「っ!?」
「お前は使えそうだから生かしているに過ぎないんだぞ?次何かしてみろすぐ殺すぞ」
「わ、わかった。要求はなんだ?」
折れんの早いなこいつ。
「ゴミの場所を言え」
正直あのゴミが王城から動くとは思わないが…一応聞いといた方がスムーズに探し出せるだろう。
「へ、陛下なら王国の砦で待機しておられる。」
「そうか」
意外だなあのゴミは絶対に戦場にこないと思っていたのに。しかし何故だ?聖国に脅されているからか?それともただの趣味か?まぁ近くいるなら会いに行って色々聞いた方が早いな。
「そうだな、取り敢えずお前は人質だ。あと今からそのゴミの所へ案内しろ」
人質は別にいらないがこっちの方が面白そうだしな。
「わ、わかった。」
ターマスティはそう言って歩いて行き、俺はその後ろを歩く。
しばらくターマスティの後ろを歩いていると、生きてる人間の気配を感じた。
「おい、一旦止まれ」
「?」
俺はターマスティを止めあたりを見渡すと、ズタボロで今にも死にそうな冒険者みたいな格好をした人を発見した。
俺はそいつに近づくと不意に直感スキルが働く。
取り敢えず〈心眼〉でステータスを見て見るか…
ステータス
名前: リード
Lv136
性別: 男
年齢: 31
種族: 人族
称号: カロン王国お控え冒険者 Sランク冒険者 誘拐犯
…こいつがミーナちゃんを攫った奴か。
そう思いながら、俺の中で黒い何かがふつふつと上がってくるのを感じた。
「おいお前」
「助け…ぎゃゃぁあ!!」
俺はこいつがなんか言う前にボロボロになっている腕を踏みつけた。
「騒ぐな。お前のことは俺が直にギタギタのズタズタにしてから殺したかったが…このまま放置していてもすぐ死ぬだろうからその前にちゃんと俺の手で殺してやる。」
「俺が…何をしたって言うん…だ…」
「心当たりがないのか?まぁわからないのならそれでいい。」
言ったところでこいつを殺すことには変わらないからな。
「お願いだ…助けて…く」
「黙れ」
俺はそう言ってレーヴァテインを取り出しこいつの左腕を切る。
ズバッ!
「ぎゃゃぁあ!!」
血が地面に飛び散る。
「お前がどんなに懇願しても俺はお前を許さないし助けない。これは決定事項だ」
俺は地面に這いつくばっているこいつを見下しながら言った。
「そ…んな…」
「さて次は右腕を切り落とすか」
そう言いながら俺はこいつの右腕を切り落とした。
「…………」
「ん?もう死んだか?いや痛感がなくなったのか。」
「…………」
「ついに何も言わなくなったか、じゃあもういい、死ね」
俺はそう言いながらレーヴァテインでこいつの首を切り落とした。
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