第76話 古代魔法【隕石流星群】

「ただいま」


砦の上まで戻った俺は三人に声をかける。


「ただいまじゃないですよ!何しに行ったんですか!」

「そうですよ急に飛び出して行くんですから」

「お主は何をするかまったく予想がつかないな…」


そう言ったミーナちゃんは怒った表情をしていて、サーシャ額を手で押さえ、ローザは完全に呆れた表情をしていた。


「敵にちょっと挨拶しに行っていただけだ」

「挨拶ですか?ますます意味がわかりませんよ。」

「まぁそんなことよりそろそろ始めるよ。みんなはちょっと後ろに下がってて。」


俺がそう言うとみんなの顔つきが変わった。

「はい」

「わかりました」

「わかった」


そう言って三人は数歩下がる。


「よし、それじゃあ始めるよ」


俺そう言って、魔法を発動させる。

まずは結界魔法。左翼と右翼の戦闘奴隷たちを分けるように長さ2キロ高さ300メートルの巨大結界を張り、その後に内側にいる兵士たちを囲むように横にも高さ1キロの結界を張る。

これで長方形の箱の完成だ。


そして俺は魔力をちょっとだけ込め、右手を天に掲げとある魔法を発動させる。


「古代魔法【隕石流星群メテオライトスター】発動!!」


俺が魔法を発動させると巨大な魔法陣が10個上空500mくらいに浮かび上がり、その魔法陣から隕石が降ってくる。


ゴォォォォォー!!!


俺はスキル"身体強化"を発動して聴覚を強化すると敵国の兵士の声が聞こえてくる。


「おい!上を見ろ!なんだあれ!?」

「なんだあれ!?」

「こっちに降ってきてるぞ!」

「魔導師なんとかしろ!」

「あの大きさは無理があります!」

「いいから魔法を撃ってなんとかしろ!結界魔法を使える奴らは結界魔法を使え!」


敵は混乱しているみたいだな。

うん、魔法を撃ったところで何もならないし、結界魔法を張ったところで俺の魔法は貫通するよ。


「「火よ、敵を滅せ!【ファイアショット】!!」」

「「「「雷よ、敵を穿て【サンダーアロー】!」」」」

「「土よ、敵を穿て【ロックアロー】!」」

「「「「風よ、竜巻となりて、敵を切り裂け!【ウィンドストーム】!!」」」」

「水よ、全てを飲み込む、光線と化して、大地を穿ち、天を切り裂き、敵に絶望を与えよ!【ウォーターキャノン】!」

「「「私を守りたまえ!【結界】!」」」


頑張って俺の魔法に対抗しているけどまったく意味をなしてないな。


「ダメです!!この大きさは押し返せません!」

「逃げましょう!」

「早くしないと潰されてしまいます!」

「魔導師は魔法を撃ちながら後退!結界が使えるものは結界を維持したまま後退!冒険者と騎士団は左右の森に逃げろ!」


なるほど悪くないとは思うがすでに結界が張ってあるから出れないぞ?


「なんだこれ!?」

「出れないぞ!」

「どうなっているんだ!?」


敵兵が俺の結界を叩いたり、魔法を使ってどうにかしようとしているがビクともしない。


そうこうしているうちに俺の撃った魔法は結界の中へ入り上空100mくらいまで落ちてきている。


「もうすぐ落ちてきます!」

「もうダメだ、おしまいだー!」

「死にたく…」


ゴゴォォォォォォ!!!!


聴覚を強化してもこれ以上は聞こえないな、音がでかすぎる。

俺は遠視と身体強化を解除する。


「これで終わりだな…」


ゴゴォォ!

ドォォォン!!!

ドォォォォォォン!!


俺がそう言った瞬間、隕石流星群メテオライトスターが地面に降り注ぎ、地面が物凄い振動を起こし、耳が壊れるかと思うぐらいの音がする。


それがだいたい1分以上続き終わった頃に遠視を発動させ隕石流星群メテオライトスターが落ちたところを見ると悲惨な光景が広がっていた。


結界の中にいた敵兵はほぼ全滅しており、地面は裂け、隕石の周りには血痕や肉が粉々になっている。

結界の外にいた戦闘奴隷たちは馬から転げ落ち腰を抜かして地面に座っている。


「まだ生き残りがいるみたいだな。三人ともここで待っていてくれ」

「はい」

「わかりました」

「わかった」


俺は飛行スキルを使い結界の方へ飛んでいく。


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