精神科入院43日目 #松原家の闇
【入院43何日目】♯松原家の闇⠀
「さぁて、退院してからどうしますかね。」
週に2度程突然フラッと入院病棟に表れ、虚を突かれる。
私も記憶が飛ばないように、自分が言ったことと主治医に言われた事。
間違いがないか書いて残しておく必要がある。
その為、ノートなど筆記用具類を持参する必要がある。
廊下を走り、部屋まで取りに帰る。
2階フロアに幾つもある診察室というより、空いている幾つものパソコン部屋が診察室。
その部屋のパソコンの電源を入れて見せかけのお飾り程度のベッドがあったかどうか。
入院をして1ヶ月以上過ぎている。
単なる経過観察。
何もすることは無い。
言うのは毎回この台詞
「さて、退院してからどうしますか?」
この台詞はこの一般病棟に移った直後から毎回出ているのだが、一向に前に進まない。
何の進展も未だにない。
「折り目正しく生活していると聞いていますよ」
当然である。
私はあなたが知っているここの外来に通っていた時の昔の弱い私では無い。
この間に、酸いも甘いも全て経験をしてきた。
白衣を着て善人面。
全て優しい戯言で受容する腑抜けをして、『言いがかり』をつけて、自分は飲まないクスリを患者に進める。
『折り目正しく生活していると聞いてる』
つまり、裏を返せざるこの主治医は「相部屋で居合わせてる人とトラブルになるから注視しろ」「松本は、怒りに任せて感情的に爆発するから注意して見ていろ」という意味である
「落ち着くどころか、折り目正しく生活している?」
「そんなわけが無い。まだ、逐一経過観察をしろ」という意味である
診察があるときしか来ない主治医に代わり、普段の我々の生活を見るのは看護師である。
勤務交代時は「申し送り」の時間がある。毎週月曜日には1時間以上の朝礼と1週間分の申し送り。
自分がいない時に「輩」や「老犬」そして、それ以外のメンバーやおきるすべての事。
それを逐一報告と共有。
彼らが見たいのは、その「特別重たい」カテゴリーの「輩」や「老犬」。
医者に言われ真面目に薬を飲んだ結果、ヒョコヒョコとしか歩けなくなり、何を言っているか分からない中年男性。
カラオケ日でもないのに、1日中ずっとテレビの前で立ったまま一言も発せず、誰からも分からない声で拳をマイクに見立てヒソヒソと演歌を歌う練習をしている80代のおじいちゃん。
大声で1人で騒ぎ、下から睨むメンチを切るようにしか人を見れない知的の中年女性。
「東京に帰りたい」とドアの前で言い続けるヘッドギア姿の頭の弱くなった、看護師にオムツを公然と毟り取られた年齢不詳の女性。
2階フロアは、60~80人。※←4人掛けテーブルに5列?6列?×3。ベットの数までは不明。
自己愛が強い患者、ワガママで周りへの迷惑を顧みない患者。
そして、重たい患者。
2:2:1。←組織論の数を検索 ※3:3:3:1か?
学生の時、本屋で見かけた組織論の本。
2:2:1←※調べる 3:3:3:1か?※
「比率と数字で統制の組織論。エグイよな。」
なんてことは無い。
スポーツなら、「レギュラー。先発の控え。戦力にはならないがベンチを盛り上げる役」
この3つにカテゴライズをする。
なら、ここの患者は?
昔、入院をして不都合に感じた女性棟まで帰らず、分かって男性棟で用を足していた女性。
食堂で、私の食事の箸を机に置いて、それが「ワシがいつも座っている席だ」とすら言わず、わざわざ「ワシの箸」で私の箸をヨロヨロとツツキどかそうとしていたヨボヨボの老人。
同じ系統の患者を一括りにした方が管理する側はまとめやすい。
が、何故かそれをしない。
その主治医に「酷い抑うつ状態」と言われ「戦力外通告」で退院する事になるその酷い抑うつ状態の脳裏で、「ワザと患者を同じタイプでまとめないようにしている」としか当時から思えなかった。
つまり、重たい患者はもちろん、重かろうが軽かろうが「お互いがお互いをストレスを与えるストレッサーとしての攻撃面の役割。
社会に出れば色んな嫌な事=ストレス=不条理で面白くない事がある。この入院生活で耐えられない「守備能力」では社会に返せない。「白い仮面」を被った「白い何かの犬」のが、腹に『クロいイチモツ』を持った白衣の「白いお医者」が、そのストレス反応=『経過観察をしている』という訳だ。
だから、どれだけ落ち着いていてもここから出られない。
入院のMaxは3ヶ月。
勿論、延長もある。延長をしたらまた3ヶ月。合計半年。
「人にあからさまな迷惑をかける、人間としてダメなオトナのこんなのが、何で早々と出れるの?」
3ヶ月かけて、たっぷり私の経過観察を見ようとしている訳だ。
だから、一向に退院が進まない。
医者の権利は「絶対」である。
人を生かすも殺すも。
その真面目に薬を飲んで、「可哀想に。まっすぐ歩けなくて」何て平気で言える。
医者が処方した自分が飲まない薬を他人だから、平気で投与して。
そもそも、人間の体。効き目は皆それぞれ違う事すら医者は分からない。
効く効かないも人それぞれ違う。
そんな医者が全権持っているんだから、主治医が私を外に出す気がないのだから。
病院から出られる訳が無い。
そして、病院長であり理事長。
病院の全ての全権までをも持っている。
主治医と患者としての相性は良いのだが、それは外来患者の時の話。
私を生かすも殺すも、主治医の彼次第。
彼がここのルールであり『治外法権』の絶対的な創造主。
彼と私は主従関係。
言わば私は彼の精神的な下僕。白いこの檻の奴隷。
外来患者時代とは違い、成長をして戻ってきたのだから面白い訳が無い。
まして、隔離病棟で「薬の効く、効かない。適した必要量」を誰より分かりやすく患者が医者に言ったのだから、隔離病棟の自室に、主治医のこの松原三郎はワザと私の部屋に鍵を掛けて出ていった。
(※セコくて「弱い」)
診察で忘れない様にはメモを取るのだが、不要な薬が邪魔をして私の記憶の妨げになる。ツライ。
その夕食後
「⚫⚫さん、←知的のオバサン。名前忘れた。 薬飲んで!舌に隠しただろ?」
廊下に看護師の大きな声が響いた。
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