第37話 赤坂

「ああ、楽しかった」

「本当ね」

 いつの間にやら、二人は赤坂宿に入っている。

 東海道35番目の御油と、36番目の赤坂の間は、わずか約1・7キロ。

 東海道の中で最も短い。


「ちょっと休憩していきましょうよ」

「名物も食べたいことだし」

 と、お茶屋に入る。

 ここでは、愛知の名物が楽しめた。


「まあ、おでんがあるわよ」

「味噌おでんだわ。本当におでんが味噌の中に浸かっているのね」

 おでんと言うと、透き通った出汁にカラシをつけて食べるイメージがある二人には、見た目にインパクトがある。


「練り物も、大根も、お味噌が染みていて美味しいわ」

「本当、温まるわね。辛そうに見えたけど、甘いのね」

 味噌おでんで、ほっこり温まって、次の宿に向かうミケタマ。

 そんな彼女たちの手には、こんなものがあった。


「スキーをしながらお好み焼きって、斬新だわ」

「おやつにぴったりね」

 片手に持って食べ歩きできる、名古屋風のお好み焼きである。

 その最大の特徴は、二つ折りにしてあること。


 アルミ箔で包めば、手を汚さずに片手で持てる。

 薄いクレープ状の生地の中から出てくるのは、美味しいソースとともに、キャベツ、豚やイカ、卵などだ。

 のんびりとした田舎の風景を楽しみながら、ゆっくり滑っていく二人なのであった。

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